月読様が口を聞いたと言う話

原文:神奈川県相模原市緑区


徳川時代のことだと思いますが、ある夜山伏が月読神社に一夜の宿をもとめて泊ったが夜中に人馬の音がけたたましく石段を登ってくるのに目をさました。この山伏(ろくぶ)は驚いて何事かと耳をすましているとやがて社前で止まると月読様が言うことに今夜この赤穂馬に男の子が出産するそしてその子は十六才の時蛇にかまれて一命をおとすと言ったので、その山伏は翌朝部落に降りたところ不思議なことに男の子が生れていたのでその子の生涯を見守るため部落に落着きその子の成長を見守っていた。やがてその子は十六才となり畳職人となっていた。ある夏のこと畳を一生懸命に造っていると、この職人のこめかみに蛇がたかったので払い落そうとして畳針でこめかみをさして一命を落したという話ですが、氏神様は鳥居参りにくる子をみてすでに一生を知っているし又常に見守っていてくれるかと思うと有り難い気持です。(子供の頃月読神社の鳥居の横に山伏の塚があったのを覚えています。)

『津久井の昔話 第三集』
(津久井福祉事務所)より

追記