赤穂馬大通寺の昔話

原文:神奈川県相模原市緑区


昔、赤穂馬の大通寺にある娘姿にばけた大蛇が一泊したという話があった。それは夕方娘姿となりすました旅人が甲州御嶽に行くのだと言って一夜の宿をたのんだので住職がことわるとどうしても泊めてくれとねだられやむなく本堂に寝かせたところ夜中になってものすごい鼾に目を覚ました。住職がそっと覗くと女の姿はなく大蛇がとぐろをまいて寝ているので住職は大いに驚き夜が明けるのをまっていると、朝になると元の女姿になって裏の井戸で洗面をして立去ったというこの井戸が大蛇の井戸といわれたそうな、又この大通寺は甲州の貧乏寺として明治三十年頃に名が知られ寺の脇に大きな穴があって通行人はもとより荷車が落ちたので通行人が道路の穴を寺の貧乏になぞらえたのだろうとも言われています。

『津久井の昔話 第三集』
(津久井福祉事務所)より

追記