大滝と雨乞い

原文:神奈川県相模原市緑区


鳥屋の山奥に、まぼろしの大滝と呼ばれる大きな、大きな滝があります。

ある年の夏、日照りが長く続き、畑の農作物がほとんど枯れてしまいました。困った村人たちは、どうしたらよいか、毎晩、集まって話し合いましたが、よい方法はありませんでした。

そのうち、一人の老人が、「大滝にわらじと馬の骨を投げ込めば、雨が降るという話を聞いたことがある。みんなで明日、滝へ行ってやってみよう。」と、大声でいいました。

わらをもつかむ思いで、翌朝、村人たちは、わらじと馬の骨をかついで大滝へ出かけて行き、やっとのことでたどりついて、それを滝へ投げ込みました。

すると、急に雨雲が空いっぱいにわいてきて、大つぶの雨が降ってきました。やがて大雨になりました。農作物もどうにか助かり村人たちは、大そう喜びました。

それからは、この地方で、日照りが続くと村人たちは、せっせと大滝へ出かけて行きました。この話は、つい最近まで実際にあったことだそうです。

『津久井町郷土誌』
(津久井町教育委員会)より

追記