先祖のシロヘビ

神奈川県横浜市都筑区


折本の飯島家(屋号カサ)の弁天も、ヘビをまつったものという。飯島家の二代前の人(林蔵、大正二年没)は、大成教白石教会に属す行者であったという。家によくないことがおこるので白石山に行き、開祖の人にみてもらったところ、先祖さまがシロヘビになって家のまわりをぐるぐるまわっているといわれた。帰って見ると、なるほど大黒柱のしたにヘビのぬけがらがあり、それを甕にいれて弁天さまとしてまつったといわれている。飯島家では金毘羅もまつっているが、これもその行者が、若いころに讃岐金毘羅さまに行ったときにオスガタをもってきてまつったと伝える。

『都筑の民俗』
(港北ニュータウン郷土誌編纂委員会)より

追記

周辺の屋敷神に弁天を祀る事例のひとつだが、その蛇が祖霊であったと語っているもの。多く弁天を祀る場合は、過去に水で死んだ娘がいたということを由来とするものだが、ここではその枠にとらわれず祖霊の蛇といっている。

弁天と限らなければ、県内にも祖霊が蛇となって現れる話はある(「諏訪神社のお祭の日」など)。それが横浜市域にも見えることは、周辺に盛んな藁蛇の風習を考える上でも重要なことだろう。