白山神社

原文:神奈川県横浜市磯子区


奥の坂の上り口を奥の方に行くと、山すその平場に白山神社があります。入口には、明治三九年建の石鳥居があり、石段を上ると、三〇坪ぐらいの境内に、一間と二間の社殿があります。成田才吉さんは、あらたかな白山神社について次の話をしてくれました。

むかしは、この社前にようじがあって、歯が痛い時は、ようじを借りてきてなでると直ります。直ったら新しいのと二本にして返すという信仰がありました。戦前まではよくお参りに来る人もありました。ようじや歯ぶらしがいつもあがっていました。この社は蛇が祀ってあるからとて、卵をあげる人もありました。境内には大きな松があって、そのほら穴に大蛇が居るとか、白蛇が居たという人もありました。この松は大正七年の大風で倒れました。二代目の松が植えてあります。

明治初年に神仏分離によって宝積寺の手をはなれ、村民一九人の共有地となりました。社前の小堂は成田家の稲荷です。石塔は文政一三年三月造立の庚申塔です。

『磯子の史話』
(「磯子の史話」出版部会)より

追記