白山神社

神奈川県横浜市磯子区


奥の坂の先に白山神社がある。昔は社前に楊子があって、歯が傷むと楊子を借りていき、なでるとなおったという。なおると二本にして返すので、楊子や歯ブラシがいつもあがっていた。戦前まではお参りに来る人が多かったという。

また、この社には蛇が祀ってあるといい、卵をあげる人もありました。境内には大きな松があって、ほら穴に大蛇がいるとか、白蛇がいたという人もいた。松は大正八年の大風で倒れ、今は二代目の松が植えてある。

『磯子の史話』
(「磯子の史話」出版部会)より要約

追記

上町の宝積寺の北側丘の裾に、白山神社の小社が今もある。もとはその宝積寺の境内社であったという。白山さんが歯の神であるとは全国どこでもいうのだが、それが蛇だとはっきりいっている珍しい事例だ。

現在の境内掲示にもご神体は蛇だとあるので、そこは動かぬようだ。上州倉賀野にあった白山神社の話などは、大樹・蛇・歯を治すといった要素が揃っていて、非常に近い話といえるだろう(「白山神社の白蛇」)。