大蛇の逢いびき

千葉県柏市


手賀沼の主(大蛇)とこんぶくろ池の主は一年に一回逢いびきしてたそうだな。

その時は風もないのにゴーゴーと恐ろしい音がするもんで、日も暮れねえうちから雨戸を閉めてしまった。

「こんな夜はおっかねえから、こめらうんねろ」(子供たちは早くねろ)と、言われたもんだ。

次の朝、大堀川の淵の真菰がわっさり折れ伏したように倒れていた。(話 富沢豊)

『こんぶくろ池 ─池についてのむかし話─』
こんぶくろ池保存の会(柏市教育委員会)より

追記

このあたりの土地も、それぞれの水場の主がどこそこへ通うといった話が多いが、何かと伝説の多いこんぶくろ池の大蛇もご多分に漏れない。概ね手賀沼との繋がりが語られるが、よしの沢の主と夫婦なのだとか、十太夫新田の池に遊ぶのだとか、これも様々に語られる。

これはその移動が真菰の野分に示されるのだ、というほどの話であるが、類話には倒れる真菰が迫ってくるが、大蛇の姿そのものは見えない、といった興味深いものもある(「真菰が向ってくる」)。