鰻の鹿島詣

千葉県銚子市


(梗概)漁好きな金持ちが川漁をしていると美女が来て、「自分はうなぎの精だが、うなぎが総出で鹿島参りをするので、明日一日は漁を休んでほしい」と頼む。男は承知して、言われるままにかぶっていた赤頭巾を約束のしるしに渡す。翌日、男が約束を忘れて漁をすると大漁だが、大うなぎが一匹まじっている。それを裂くと腹から頭巾が出て、それからその家は不幸つづきで、つぶれてしまった。(銚子周辺 p.18)

(銚子周辺……千葉県立銚子高等学校地理クラブ『銚子周辺の民話』1969.自刊)

『日本昔話通観 第9巻』小沢俊夫・他(同朋舎出版)より

追記

話そのものは「物食う魚」と分類されるもので、大岩魚が法師に化けてきたり色々するものだが、そちらはさて置く。ここでは、鰻が鹿島と関係している事例、という一点で参照されたい。

神奈川県厚木市のほうに、鰻たちが群集・参詣する観音があり、その観音免には要石があった、というような話があり(「うなぎ観音」)、そこからの参照事例として挙げた。

余談だが、鹿島神宮近くで鰻を捕まえている像を蟇股にあしらったお宮を見たこともあった。鹿島要石といえば鯰だが、あるいは鰻との関係も各地にちらほらあるのかもしれない。