むかし、ある男が大石に潰されそうになっている蛇を助けた。すると何日かして、きれいな女が訪れ、嫁にしてくれといった。男は独り者だったので、自分なんかで良ければ、と所帯を持った。夫婦には女の子が生まれ、四歳五歳にもなった。
しかし、どうしてだか男は女房を蛇ではないかと思いはじめた。そして、蛇ならば苦手のナメクジをけしかければわかるだろうと、そうした。すると、本当に女房は蛇だった。女房は自分はあのとき助けられた蛇なのだと白状し、知られたら一緒には居られないと去ってしまった。ただ、子どもが泣いて悲しがって仕方なかったので、蛇女房はどこに行けば会えるのかは教えてくれた。
そうするうちに、今度は父親(夫)が目を患って見えなくなってしまった。子どもはどうしたら良いか母親の蛇を訪ねた。すると母蛇は、自分の目玉を取って子どもに渡した。
その目玉で父親の片方の目は治った。子どもは片方治ったからもう片方も、と思ってまた母蛇の所へ行った。母はもう片方の目玉も取って渡してくれた。おかげで父親のもう片方の目も見えるようになった。