大沢の谷の奥に小さい池があり、髪長池という。何故そういうかというと次のような話がある。昔、中村に一人の娘がおり、山で柴を刈っていた。すると、異常に喉が渇いたので、山を越えて大沢の谷に下り、小さな池を見つけると、その水をごくごくと飲んだ。
すると途端に娘の髪が次から次へと枝毛になって伸び、見る間に体の倍の長さになってしまった。家に帰ってハサミで切ろうとすると、痛くて切れない。何かの祟りだろうと、伸びた髪をフゴに入れて坂部の遍照院へ行った。遍照院で願をかけると、ハサミも入り、髪の毛を切ることができた。その髪の毛は、今でも遍照院にとってあるという。