大室山の穴の原の洞穴は富士まで続くともいわれる。この穴の奥には大蛇が棲んでおり、村人を苦しめたが、将軍頼家が狩りに来た時、村人たちは大蛇を退治してくれるよう願い出た。頼家は快く聞き入れ、和田平太という強い家来に大蛇退治を命じた。
和田平太は松明をかざして穴の奥へ進み、何時間も歩いて灯も消えてしまった。その真っ暗な穴の中、大蛇が飛び出し平太をひと呑みにしようとしたが、平太は一声の気合とともに、大蛇を斬り殺した。
村人たちは頼家の一行を迎えて、何のお礼もできないので、踊りなど披露して見せたという。その場所は小高い百五十坪の広さの「舞台」という地籍で、今も残っている。その後、村人たちは幸せに暮らしたということである。(『池の歴史』)