女の子が水浴びに行って、岩の上に登って休んでいると、河童(かわやろ)が蜘蛛に化けてやってきた。首に糸をかけては水の中に入り、また上ってきては糸をかけて行くので、おかしいと思って首から糸をはずして、すくんでいると、水の中から引っぱった。かわやろは一つ歯で頭に皿があるといわれる。(深戸)
河童(どちどろべい・どちろべい・かわやろ)の話が連ねられている中の一話。旧美並村の範囲の話だろうが、どこの池淵の話なのかは分からない。ここでは、蜘蛛ヶ淵との関連で、その蜘蛛が河童であった、という事例のひとつとして他から参照するためにあげた。
この地から南へ南へ下って行き、尾州一宮に至る少し手前の「東浅井の池」には、糸を掛ける蜘蛛の正体が耳の生えた大スッポンだった、という話がある。通じるものがあるかもしれない。