双子池と雌雄の竜

長野県南佐久郡佐久穂町

諏訪湖と松原湖の主である雌竜と雄竜とが、巡り会うのも双子の池であると伝えられている。双子の池より松原湖に移ったという竜神が、諏訪湖の竜神をここで迎えるのだという。(『長野県史・民俗編』)

『八千穂村誌 第三巻 民俗編』より

同稿は「双子池の伝説」という題のもとにいくつかの伝説がまとめられている。内、雌雄の竜の話を抜き出した。

書いてある順番に従えば、諏訪湖が雌竜・松原湖が雄竜ということだろうか。しかし、一般的には逆だろう。特に、松原湖は畠山重忠の母が竜となって住まった湖という印象が強く、また色々の蛇体となった娘の行き着く先でもあり、雌雄でいうなら雌竜の湖という色が濃い。

ただし、同地で諏訪の竜を持ち出すというのはやはり大変に意味のあることとも思われ、周辺他にも見えるヌシの大蛇の移動の話と絡めて、それが何を語るのかはよくよく考える必要がある。