深名に御霊様、御霊神社があって、昔といっても昭和の話だけれど、大きな松があった。房州の名木になるような大松だったけれど、近くに家もできてきて、倒れて被害などあったら大変と、切ろうか、ということになった。
そして山師に売って、山師が伐ったのだけれど、その倒れる音が、龍の悲鳴のように聞こえた、という。天下の名木だからと皆が立ち会って聞いていた。さらには、白い煙が立ち昇り、それが白い龍となって天に昇っていくのが見えた、と。龍が架空の動物だとは皆知っていたはずだけれど、そう見えたのだそうだ。
不思議に、それから何日もたたず木を伐った山師は死んでしまった。さらに、当時の深名の区長の家からも死人が出たり病人が出たりと、大変なことになってしまった。これは御霊様の松の祟りだと。本当に龍が見えたのか知らないが、そういう話がある。