昔上唐子の浄空院の隣に大仏(おさらぎ)という変わった姓の家があって、お爺さんとお婆さんが住んでいた。このお爺さんとお婆さんには子供がなかった。お爺さんとお婆さんは子供がほしくて、岩殿の観音さまに願をかけて二十一日、雨の日も風の日も毎日お参りにいった。満願のお参りにいくと、観音さまに子供の頭ほどある大きな卵があった。お爺さんとお婆さんはこれは観音さまがお授けになったものに違いないと家へ持って帰り、綿の入った布団にくるみ床の間にあげておいた。
するとその卵から可愛いい女の子が生れた。お爺さんとお婆さんは大喜びその子供を大事に育てたが、どういうわけか近所の子供達と決して遊ばず、一人で池や川の端で遊んでいた。そして七つになったある日突然いなくなってしまった。
その子供は大蛇になって都幾川の主になったのだという。