ツバメのおみやげ

群馬県太田市

新田の市野井に欲深いおばあさんが一人で暮らしていた。おばさんの家には毎年ツバメが巣をつくり、子をはやすので、おばあさんはある年ツバメに、おめえたちはひとんちで子を産んで育てるが、お礼のひとつでも持って来い、といった。

すると翌年来たツバメが、何かの卵をぽとりと落とした。おばあさんが喜んで、お椀をかぶせて大事にすると、卵からは蛇が生まれた。ところが蛇はどんどん大きくなり、おばあさんがちょうず鉢をかぶせてもたらず、たらいをかぶせてもたらず、ついには風呂桶をかぶせたが、これもひっくり返してしまった。

それでも蛇はまだまだ長くなって、家の中いっぱいのとぐろを巻く始末。おっかなくて家にいられないおばあさんが逃げ出すと、蛇はおばあさんの家をひと巻きにして、家はミシリミシリといい始めた。

困ったおばあさんは、庭にツバメのえさを撒き、ツバメに謝って、蛇を連れて行ってくれ、と頼んだ。するとツバメが大蛇の周りを飛び始め、回るたびに蛇の姿は小さくなっていくのだった。しまいにはお椀に入るほど蛇は小さくなり、ツバメはその蛇の子をくわえて飛んで行った。それからは春になってもおばあさんの家には燕は飛んでこなかったという。

後藤博子ほか『ふるさとの民話 太田』
(あかぎ出版)より要約

新野のほうは何らかの川の異常をいっているようであるが、市野井のあたりはそのような特徴ある河川も見えず、欲深なおばあさんのいましめというわかりやすい話と見て良いだろうか。