石原の賀茂神社に鳥居のない由来

群馬県太田市

昔、賀茂神社前の道は例幣使様が通る道だった。松並木が休み場所になっており、一行が休んでいたが、突然犬が吠えたてた。それで腹を立てた殿様(例幣使様)は、家来に命じ、犬の首を切ってしまった。

すると、犬の首が鳥居の上に跳ね上がり、そこにいたヘビをくわえたという。殿様は、犬が自分を助けようと吠えたのだとわかり、自分が帰るまでに(三ヵ月かかったという)塚を造り犬を供養するよう、名主に供養金を渡して行った。

春日様の裏にあった塚が、その塚で、石尊様を祀っていた。また、ムラでは、鳥居があったのでヘビが上がったのだ、ということで、神社の鳥居を外してしまい、今もないのだという。はたし(機織機)にも鳥居が付いているので、正月には鳥居を出さないということで、正月は機織りもしない(石原)。

『太田市史 通史編 民俗(下巻)』より要約

同太田市の龍舞の方にはその色が濃く、龍舞の賀茂神社も藤原長良が青龍の加護に感謝し勧請したというが、同地の八重笠沼のヌシの大蛇が賀茂さまにまつられた、などともいう。