或農家の娘が社に水汲みに行くと、毎朝きまって白蛇が出る。その娘には非常に小さく見えるが、他の人には、とても大きく見えた。そしてこの蛇は月に一度は娘の家に現われる。この事あって後は娘の家はますます栄えて大金持となった。けれど或日娘がふとした事から死んでしまった。それから後は蛇も現われず、又一方家運も凋落した。(那須郡佐久山)
白蛇が娘の守護についている、という話はままある(「白蛇の恩返し」)。しかし、この話はそれらと比べても娘を通して家を守護している、という色合いが強く、興味深い。
旧家にはそういった蛇巫のような役どころがあったのじゃないかという話がままあるが、娘には小さく見えたの人に大きく見える白蛇がついていた、というこの話のイメージは非常に強烈だ。