白蛇の恩返し

山梨県山梨市

白蛇を女の子が、男の子がいじめてたのを、お金をわずかやって、その白蛇を助けてやったら、それからその蛇がその子を守り、何か困るっていう時には蛇がその子の体を守って、そしてずうっと白蛇に守られてその子は怪我をすることも無いし、不運にあうことも無いしして、その蛇に一生守られて通ったっていう話はお祖母さんから聞きましたね。だから決してその蛇っていうものは、いじめたりたたいて殺したりとかするもんじゃない。ことに白蛇っていうものは祟りもする代わしには、助けてやれば、そういうに守り神にも化身してく蛇だから、白蛇は決して粗末に扱うもんじゃないって話は聞きましたね。(岩手 女 T11年生)

『山梨市史 民俗編』より

岩手というのは以前山梨市内にあった岩手村のこと。蛇と娘の話は多いが、これほど「守護」という点をはっきり語る例はあまり見ない。蛇報恩だといえばそれまでなのだが、もう一歩踏み込んだ印象が感じられる語りだ。

『あずさ弓』のC.ブラッカーもいうように、実は往昔の巫女の夢に立って託宣をする神的な存在は、蛇が大変多かった。それは現代近くまで続いており、その根底にはこういった守護する蛇の感覚が色濃くあったのかもしれない。