奥日光のオンバ様 栃木県日光市 奥日光の志津の宿に、目のものすごい大きな、見るからに異様なオンバ様と呼ばれる石像がある。オンバ様は「御婆様」「姥神様」の文字が当られており、日光の男体の子・太郎山に乳をくれ、彼を育てあげた乳母であり、非常に子育てがうまかったという。なお、一昔前はこの像は付近の住民から子育ての神として厚い信仰を得ていた。(『下野の伝説』) 『日本伝説大系5』(みずうみ書房)より 太郎山・太郎明神とは男体・有宇中将と女体・朝日の君の子、馬頭御前であり、「日光山縁起」などでは神の子として自らも死後示現するが、あまり印象的なエピソードはない(「縁起」では猿丸の父である)。 それが、志津(男体山の北)にはオンバ様なる石像があり、太郎を育てたのだという。上州のほうには日光と赤城の神争いが、巨人の争いのように描かれる話がままあるが(「谷を取りに行った赤城の神」など)、そういった巨人族の子であるかのような雰囲気がオンバ様と太郎の間にはある。 ツイート