田伏と横須賀の間に、大池という水田があるが、昔は男池(おいけ)という大きな池だった。対岸の田余(たまり・玉里村)にも、今は水田となった女池(めいけ)という大きな池があった。二つの池には古い大蛇が住んでいた。おだやかで人に悪さはせず、暮らしを支えてくれる大蛇であったという。
男池と女池の大蛇は、霞ケ浦を隔てて別れ住んでいたが、年に一度逢瀬を楽しんだという。しかし、それは日照りの年でも、女池の水が満々とたたえられた状態でないとかなわず、男池の大蛇はその水のたたえられたのを見計らって、女池に飛んできたという。
水がなければ会えないので、大蛇たちは協力して、雨を呼んだ。それが人々の稔りの助けになったのだそうな。今は水源になる林の木も伐られ、池は水田になってしまったので、大蛇たちもいずこかへ行ってしまったという。