ムゲガラ節句

青森県むつ市

七月一日(旧暦では六月一日)は「ムゲガラ節句」である。この日は蛇が初めて脱皮する日だといわれており、「この日は山へいくものではない」という言い習わしがあった。また、この日に見つけた蛇のむけがらはとっておいて、「イボをこするとイボが落ちる」といわれており、よく袋に入れてとっておいたものである。
この日はまた、甘酒をつくって飲むので「甘酒節句」ともいわれ、正月の切り餅や小正月のメダマを軒先につり下げて干しておいた干し餅を食う日なので「歯固め節句」ともよばれていた。
菅江真澄は『奥の浦々』の中で、
「きょうは氷室の祝いといって、一夜酒をつくり、氷餅(干し餅)など、ワリコ(曲げワッパ)や弁当箱などのようなものに盛って持ち歩き、贈答しあっている。」
と記しているが、これは甘酒節句・歯固め節句の習俗を記したものである。

『むつ市史 民俗編』より

むつ市のむけの朔日の報告。イボ取りの効能をうたっているところは面白い。記述はないが、これは同日「人間も同じように皮がむける」という話になっているところが重要なものだ。