盲目の三味線弾きの男が峠に向かった。麓の人は山中泊まると命が危ない、と止めたが、男は登り、一軒の空き家に泊まった。さびしくなったので、三味線を弾いて大声で歌っていたが、歌い終わると女の声が「もうひとつ歌ってくれ」というのだった。
言われてまた歌うと、女の声は、自分はこの山のたこだ、村人に話すと命はない、という。翌朝山を下りた男は、酒屋で休んだが、昨夜の話をして死んでしまった。するとそこに女が現れ、自分はたこだ、良い声をしていたので生かしておいたが、約束を守らないので殺した、といった。
そして、酒屋たちにも他言しないよういい、話せば三味線弾きのようになり、村は沼になる、といった。しかし、酒屋たちはこっそり先手を打って峠の周りを鉄棒で囲んだので、たこは山に帰れずに死に、蛇身となっていた。このたこと盲目の三味線弾きを一緒に祭ったのが、おしら様という。