事項:サ行


※年数は西域でもっとも稠密に遊ばれるフェランの村の開村からの数字。MHXX の主舞台は270年、MHRise の主舞台は275年となる。

サ行見出

四宝石の調合家
シャガの里
セレナ村
素材採集
ソフィア・ニール

四宝石の調合家

今はセレナに拠点を持つ竜人族の女がおり、人の尺度では大昔から〝ヒンメルンの竜女〟と呼ばれていた。四百数十年の昔に、彼女は調合術の研究所を構え、四人の人の娘を助手とした。娘たちの業が成ると研究所は解散されたが、四人の娘には認可と新たな名が与えられた。すなわちルビー・サファイア・エメラルド・パールの四つの名であり、この名を継ぐ家を〝四宝石(しほうせき)〟と呼ぶ。

この四家とは〝ルビー=ウィンズロー(ヴェルド)〟〝サファイア=シャンマリー(レクサーラ)〟〝エメラルド=クレーバーン(ユクモ地方)〟〝パール=メートランドアウタ)〟のそれぞれ。

ただし、各家の娘が継げば宝石名を名乗るかというとそうではなく、健在のヒンメルンの竜女が才を認めた娘のみ名乗りを許される。ウィンズローでいえば、現在〝ルビー〟がいるが、彼女が四百数十年で五人目のルビーである。

東 域

シャガの里

商業の街クアラの北には街の食を支える一大棚田地帯があり、その上にある樹林地帯をシャガの森といった。竹林が多く、その竹は凪地に生える竹よりはるかに強度があるので、クアラの建築を支える足場材として重宝されていた。

そのシャガの森の一部を切り拓いてつくられたのがシャガの里。五十年前に北方カムラの里を竜の横溢〝百竜夜行〟が襲った事象に鑑み、より広く横断的な技能を持つハンターの養成が必要とされた。これを受けて設けられた里である。

シャガの里とその周辺

東域の里々は狩場の監理においても自主独立の気風が強く、ハンターズギルドは西域のような強力なギルド街を持たなかったが、ここに異色のギルドマスターが里長である里が誕生した。色々の役割を果たす里だが、当面はルーキーハンター養成所としての話がメインとなる。

クアラからは直線距離で10kmほどなので、目指してくるルーキーにもそう紹介されているが、実は棚田の合間を曲がりくねって登る道なので倍くらいに体感される(実際歩いて登ると半日かかる)。

シャガの狩場:共に十数キロ山を登った先に「東の狩場」「西の狩場」のふたつの狩場がある。凪限界の先とはいえ緩衝地帯なので、大概は小型モンスターが見られる程度でルーキーが狩のイロハを覚えるのに適している。また西の狩場最奥の大滝を登った先には通常の大型モンスターの侵出もある「奥の狩場」という三つめの狩場がある。

東の狩場と西の狩場は里からハンターの足で三、四時間でベースキャンプに着くので、日帰りの狩猟も可能(というよりこの距離でないと日帰りの狩はできない)。もっともルーキーは日が落ちたあともキャンプで様々な課題に取り組むものなので、翌日の帰投が普通。三つの狩場はすべてゲーム内の大社跡を用いる。

セレナ村

ヴェルドの東、ヒンメルン山脈の麓にある村。〝シュレイドのアーカイヴ〟と呼ばれ、大昔からの書誌文書の収集を村の使命としている。王立図書館の蔵書も、この村にあるオリジナルの写しであることが多い。また、情報収集集団〝ゲリョス〟と印刷技術を持つ〝ケロス〟を中心に、新たな記録の編集出版にも精力的であり、現在は「新大陸」からもたらされる情報に色めき立っている。

村は大きな岩山を背にしている。そして、その岩山に穿たれた大規模な岩窟群こそが、セレナ村の本体であり、書庫である。この岩は抗菌石に似た作用を持っているもので、岩窟に蔵した紙の劣化が大きく抑えられる。大昔、稀代の書痴であったグレゴリー・ランスロットがこの地の岩の特性を聞き、ここに岩窟を掘って住み着いたのが村の始まり(セレナはその妻の名)。

ちなみに〝セレナ文庫〟と呼ばれる資料群はふたつある。一般的にそう呼ばれるのは、セレナ村と古書士隊によって定められた千の基礎資料(印刷され流通している)のこと。もう一方は、村の始まりとなったグレゴリーの集めた書物一群のこと。グレゴリーはこれに妻の名を冠してセレナ文庫と呼んだ。「セレナ文庫のある村」というのがセレナ村のもとであり、実は村名より文庫名のほうが先。

狩場にまつわる情報もここに集まるので、ハンター御用達の情報誌「狩りに生きる」からの常駐もある(編集はミナガルデで行われているが)。また、フェランの村絡みだと、四宝石の調合家のマスターであるヒンメルンの竜女は、セレナ村を拠点としている(年の半分は各地を回っているが)。

素材採集

ハンターの本質は、戦闘力よりも狩場で得た素材をいかに価値を落とさず村の暮らしに持ち帰るか、という点にある。狩場にあるうちに済ませねばならない一次処理の技量で素材の価値にも雲泥の差が出る。薬草から飛竜の鱗まで、それは変わることはない。

このための技術はかつては地域地域で独自に模索され伝えられてきたが、四宝石の一流ウィンズローの三人目のルビー(シンシア・ウィンズロー)のときに、知識・技術が集大成され、体系化された。

その技はウィンズローとフェランの村に良く伝わったが、そこから代々の工夫が更に集積していったのは、セレナのゲリョスにおいてである。四宝石の師であるヒンメルンの竜女がセレナに拠点を移したのもこれによる。

具体的にセレナへ技を移したのはウィンズローの娘(メリル・ウィンズローのちタガート、49年生 シンシアの妹の玄孫の代の傍系)。そしてその夫となるセレナ・ゲリョスのハンター(こちらが〝素材採集家〟)で、シャノン・レイナードの後継者(クイン・タガート、45年生 出自不明、シャノンの息子だったのでは、とも)。このウィンズローの娘は〝幻のルビー〟と称された。メリルにはハンターの素養もあり、採集技術を固めるため夫と狩場を巡っていた。それで生涯を過ごしたので、調合師としての成果はない。

ソフィア・ニール(女 238〜)

フェランの村九代目村長レイバン・ニールの玄孫で書記家の三代目。聡明な兄がいるが、輪をかけて異常な記憶力を持って生まれたソフィアが三代目を継いだ。日の光に長くあたることができず、外出するのは稀(外では黒い大きなつばの帽子をかぶっているのですぐわかる)。歳相応の外見ではなく、二十代に見える。

読んだものをすべて紙面のまま覚えてしまう記憶能力の持ち主。これを活かし、シュレイドのアーカイヴたるセレナ村にいる兄のアイザックが送ってくる膨大な資料から、『インデックス』と呼ばれる索引集を編纂している。セレナ村と古書士隊が共同で定めた千の基礎資料「セレナ文庫」の索引化を二十代のうちに完成・出版させてしまった。

ちなみに『インデックス』は、ただの用語一覧ではなくクロスリファレンスである。綴じ本ではなく一項目一枚のカードのセットとして出版されており(ソフィアはこれを角笛亭の宿泊者カードの束から着想した)、各研究者自身による記録の追加、ソフィア自身の増補カード提供が容易となっている。

これらの実績から、今のフェランの村の者で最も世に知られた名はソフィア・ニールである。古書士隊やセレナ村からの出向の要望が強いが、ソフィアの体質から叶わないこととなっている。また、同じ理由からソフィアは文書記録の文面が示すものの実体には疎い。

表面上は起伏のない性格だが、実は子ども好き。書記家では助手のリリー・アーチボルトが村の子どもらに読み書き計算を教えているが、ソフィアもよく顔を出す。