女体山の鳥居

香川県さぬき市内:旧長尾町

中津には女体山の鳥居が建っているが、中津の人々が雨乞いのために女体山に登るのに、必ずこの鳥居の下をくぐった。

昔、女体山から首切れ馬の妖怪が下りて来たが、その鳥居がある為に前へ進むことが出来なかったので、道をかえて長尾の方へ行った。長尾の宝蔵院のところで桂洞法印のために伏せられてしまったという。このように、妖怪の通る道筋をナワメスジと呼ぶのだそうである。

『改訂 長尾町史 下巻』より原文


四国で夜行さんといったら首切れ馬だが、その怪が山から下りて来たという話。女体神社そのものに関しては以下参照。

女体山の話
香川県さぬき市内:旧長尾町:海女だった母が、息子や土地が水不足に苦しむのを見、自ら水神にならんと祈願する。

この話はあまり女体神社そのものとは関係がないように見えるが、こういう怪の通り道を「なわめすじ」という。大体、そういわれる「筋」に家など建ててもすぐに滅びるなどといわれる。厳しい所だと軒先がかかっただけでも厄があるという。

概ね社寺や何らかの聖地などに向う経路にそういう筋が想定され、亡者が辿る道なのだなどともいわれるのだが、こういった道筋の把握は大変重要だ。道切り、葬列の行き帰りのルート、神輿の巡幸ルート等々、それは多くの民俗に影響を与えているはずだからだ。

長田の勧請縄の伝説
三重県伊賀市内:旧上野市:川の流れの方角の悪い所に大蛇が侵入しないよう勧請縄を渡す。