田ノ浦のおろち
大分県豊後高田市
昔から田ノ浦にはおろちが棲んでいるといわれた。人間はその姿を見ることはできないが動物はよく見わけたという。夕方になってそこを通ると背すじがひやりとする。現在でも四時から五時頃になると田ノ浦に行く人がないという。
『香々地町誌』より
追記
そこには大蛇の主がいるのだが、見た者はいない、とは各地で語られる。ここでは、それがそもそも見えぬ存在なのだ、とされている。「人間はその姿を見ることはできないが」というのは明言であろう。
関連して、人によって見える・見えないの差が出る場合もある野州芳賀の勝道上人産湯の池の大蛇は地元の人には見えなかった（「弁天の大蛇」）。