五月の節供

神奈川県藤沢市


四日の宵節供には、菖蒲湯に入り、筍を入れた汁にそばの御馳走である。昔、御先祖様の女神がお湯に入ろうとすると、いつも悩まされて入ることができなかったが、ある時みもちになった女神は入った方がいいと言って、菖蒲湯に入ると、蛇が屋根に来て話をしている声が聞えて、「お前は今日は馬鹿に早いじゃないか」「今日は菖蒲の湯に入っていたからよりつけなかった」と言っていたという話があったそうだ。今も菖蒲の湯に入ると蛇の子がおりるといっている。

『遠藤民俗聞書』丸山久子・他
(藤沢市教育委員会)より

追記

蛇聟に通われその子を孕んだ娘が、菖蒲湯によって蛇の子を堕ろすという話が五月の節供の由来として語られることは多い(「菖蒲湯」など)。その中において、「御先祖様の女神が」と語る興味深い事例がこの遠藤の話で色々な資料に引かれている。

その原文が上なのだが、ご覧の通り一番元の話からして細部がよくわからないものなのではある。遠藤の鎮守は御嶽神社なので、これは違うだろう。同地では一族単位で祀るより小さなお宮を「コミヤ」というが、遠藤のコミヤで話に該当しそうなのは浅間さんくらいである。