大蛇の骨薬

群馬県佐波郡玉村町


玉村町小泉の神社に杉の大木があった。中がうろで、蛇の巣になっていたという。この蛇が庭に出ては野を荒らすので、昔の人が火雷さまにお祈りをした。すると、夏に雷が大木に落ち、のたうちまわって大蛇は死んだそうな。

昔のことだから、それは利根川に流してしまったが、小泉のある子供医者が、大蛇の骨をとっておいた。こんな大蛇がいたのだと孫子に見せようと、骨を取っておいた。それが特効薬だなんて聞いた。稀代に子供に効いたという。

『上之宮の民俗』(伊勢崎市)より要約

追記

伊勢崎のほうの資料だが、話は佐波郡玉村町小泉のものだ。となると、神社というのは飯玉神社のことだろう(上州には同名社がたくさんある)。雷を射た火雷さまとは500mほど上流部に鎮座される式内社の火雷神社のことと思われる。もっとも、ここでは地域的な詳細はさて置き、大蛇の骨や黒焼きが薬になるとされた参照事例として引いた。