三回まわる

茨城県東茨城郡茨城町


古い池や大きな沼にはたいていヌシ(主)と呼ばれているヘビがすんでいて、そのヘビにまつわる伝説や民話があるが、竜灯が上ったと言い伝えのある赤坂の弁天池では、弁天様の祠を目をつぶって三回まわると、白いヘビが現れるといい、また内原町との境にある湛沼(たたえぬま)も、周囲を三回まわって後ろをふり返ると、水の中にちらっと大蛇の姿が見られるといわれている。

『茨城の民俗 第18号』(茨城民俗学会)より

追記

蛇の主がいる池沼・古樹・祠等々を○回まわるとその主の蛇が見える、という話は各地によくあり、その回数はおおむね三回(半)か七回(半)である。常陸では石岡の柏原池などにも「三べん回ると」がある。

三回まわるというのは葬儀の際にも見られ、出棺の際にそうする例は少なくない。また常陸の話だと、盆綱の竜蛇を乱塔婆(墓場)を三周させてから里に向うなどというのもある。

この理由、各々が同じ理屈で説明されるのか否かというのも難しいが、竜蛇が直接姿を現さない儀式伝承にその影を見る大きなヒントとして覚えておきたい。