伊豆志によると、明伏村大沢村の流れ落ち合う処に白蟹淵あり。この淵に大蟹すみ、己が背に白あわを吹き出したるを見しより此の名あり。大きさ7~8尺という。
俗に白銀が淵と云うとは非なり……と(伊豆志)
この淵が今もあるのか、どう呼ばれているのかは不明。「白銀」と間違われたというのだから、読みは「しらがに・しろがに」なのだろう。
それ以上どうともいえない小さな話だが、蟹が白いのではなく、その吹く泡が白いという点に注目して話があることを気にしたい。蟹の吹く泡に注目があった、ということだ。
天城の浄蓮の滝の上の滝には吹く泡で雨霧を呼んでいた蟹のヌシがいた、という話があり(「まぼろしの寺」)、泡に注目していた事例として参照したい。