御園の白蛇 静岡県三島市 昔、御園に大きな屋敷を構えた家があったが、その幾代目かの時のこと。広い屋敷内には一匹の白蛇が住んでおり、普段は人目には触れなかったが、ある夜から当主の夢に出、奈古谷の国清寺に移してほしい、と告げるのだった。 この夢が毎夜続くので、当主もついに国清寺に赴き、訳を話して小堂を建てて白蛇を祀ることにしてもらった。これより毎年三月十五日には供え物をして祭りを行うようになった。堂の修理も同家が行ってきたという。 三島市郷土資料館『続 三島の昔話』(三島市教育委員会)より要約 国清寺と蛇、というつながりのある話。話そのものは、額面通りなら屋敷神の蛇が寺に移った、という話なのだろうが、結果同家がどのように変化したのかというのはない。そこは重要ではないのかも知れない。 よく分からない話だが、一方で奈古谷には国清寺の高僧が村を困らせた白蛇を岩に封じたという話があり、また、その大石がある(「蛇石」)。御園の白蛇は、それ以外にも国清寺には蛇にまつわる話があるのだ、ということで引いた。 なお、その蛇石まで含めて(伊豆側では直結はしていないのだが)、少し似た雰囲気のある話が富士のほうにある。神谷のお不動さんの岩の割れ目には白蛇が見えるという話だ(「お不動さんの白蛇」)。少し気にしておきたい。 ツイート