飯地町の小屋ヶ畑と岩浪下に小さい祠がある。この間は約1500m離れている。共にヘビ神さまといわれ、神体のヘビ神さまは二つの祠を往来すると伝えられている。
小屋ヶ畑の祠の裏の岩にはすき間があり、そこから覗くとヘビ神さまの腹のあたりが見えるという。見えないときは、ヘビ神さまは岩浪下の祠へ行っているのだという。このヘビ神さまを信仰していると、金に不自由しないという。
短距離で「蛇神の渡り」が完結している点が注目される。今でもあるならば、何故渡るのか、その渡りは何を意味するのか、ということが見えるところかもしれない。また、もしかしたら水辺なのかもしれないが、話の上では水神の蛇とは見えないところも注目したい。
それは、この蛇が「岩の割れ目に横腹を見せている」という点に見える。こういった状態の蛇(多くは白蛇)は、巨岩中の石英脈のようなもののことをいっているのではないかという件があり(「蛇石」など)、この恵那の話は典型である可能性がある。
なお、同じく恵那の飯地町よりやや東の笠置町姫栗の「へんび石」も、その「岩の割れ目から、にょろにょろ横腹を出して」見せるものだったという。これはそれによって田植えの時期を知らせるというもので湿って雨を知らせる蛇石の話などに近いが、形態はよく似ている。