船木の留守居神

千葉県長生郡長柄町

船木神社の本体・氏神は山王という。この山王という人は耳が遠い。それで、出雲に何か神様どもがよるときがあって、その夜のこと。道祖神という小さい宮があるが、そこへ乞食が夜をしのぎにきた。

すると、他の神様が、山王に行かないのか、と尋ねている。すると、山王はつんぼの早耳で、おら留守居だ、と答えた。これを乞食が聞いていたので、船木の宮は留守意神様なのだという。それでお立ちというのはない。部落の氏神は出雲へ行かないでずっといる。

『昔話研究資料叢書 第16集 房総の昔話』
川端豊彦(三弥井書店)より要約

長柄町船木に船木神社があるが、現状詳細不明。この話では、山王さんであって留守神なのだという。一般に山王の神をして神奈月に出雲へ行かない留守神である、という事例はあまり聞かないが、ここではそういうのだ。

留守神の代表としては恵比寿さんがあり、竈神・荒神、道祖神などがそうだとされるが、中に「蛇だから」行かない、という話がある。代表的なのは諏訪の神だが、それ以外でも蛇ゆえに、という話はある。