昔の下砂村の中央の丸貫にある熊野神社の一隅には、竜堂といって観音が祀られている。天井には狩野法眼による龍の額があり、日光東照宮の龍と兄弟だというが、火災にあって尻尾がない。そこで、日光の龍にお願いをしないと雨を降らすことができないと下砂村ではいった。
昭和八年に日照りが続き雨乞いをした際も、金剛院に頼んで祈ったが、村人たちも日光に向かって一斉に祈った。そして竜堂の龍様に次々と手ぐりで水をかけ、間もなく土砂降りになったという。
それで大喜びの酒盛りとなり、すぐ前まで水の取り合いで喧嘩していた人々も仲良く田の畔を歩き回ったという。