昔、膝折(すねおり)にある雷電池(かんだちがいけ)は、広く豊かに水をたたえ、底には大蛇が住んでいたという。村人は雷電(らいでん)神社を建てて、この水神の大蛇を祀った。日照りの年に雨乞いをすれば、大蛇は必ず雨を降らせてくれたという。
ところが、田を増やしていくうちに、雷電池も埋め立てられてゆき、小さくなってしまった。それで、大蛇は上州板倉の大沼に移り住んでしまった。その次の年、また日照りとなり、雨乞いをしたが、少しも雨は降ってくれなかった。
村人は上州へ行って祈願しないと、と出向いてゆき、竹筒に大沼の水を入れて持ち帰った。その水が着いた途端、青空に黒雲が現れ、雨が降り出し、やがて大きな雷が三度も鳴り、土砂降りとなったそうな。