女の人が橋をわたり、池をこえてやって来ました。手には、お酒を入れる手おけをさげていました。
橋をかける仕事をしていた人夫が、
「ねえちゃん、どこへ行くんだい」
と聞くと、
「お酒を買いに」
と女の人が答えました。近くにお店などがないのでお酒をおけに入れてやると二、三合(一合はやくコップいっぱい)しか入らない小さなおけなのにいくらでも入るので人夫はおどろきました。
女の人は、お礼をいって帰っていきましたが、人夫が心配して見ていると、女の人は、池の中に入ってしまいました。身なげをしたのだと人夫たちが池の中をさがし、助けあげてみると、丸いきれいな石になっていました。その石を氷川さまにお祭りしたということです。(溝沼)