徳蔵姫

茨城県東茨城郡城里町

「笠間女に水戸男」と、笠間は美人が多いといわれ、牧野さまが日向から来られた時、美人を連れてきたからだというが、七会の徳蔵も美人が多いといわれていた。

徳蔵の娘は「徳蔵姫」と呼ばれ、嫁の貰い手が多かった。昔、八瓶山という峰が八つにわかれた山に、八つの頭をもつ大蛇が住んでいた。時折里に下っては美人を呑んだという。困り果てた村人は、八つの瓶に酒を造り、酒を呑み酔い寝込んだ大蛇を退治した。

これによって八瓶(やつがめ)山というようになったが、五つの瓶は山に残り、一つは壊れ、一つは真端の池に飛び去り現存しているという。

内原町史編さん委員会『うちはらの昔語り』より要約

徳蔵では、一代に一人美人が生まれ、これを徳蔵姫といい、姫が死ぬとまた次の美人・徳蔵姫が生まれる、というより興味深い話が語られる(『旅と伝説』24号)。巫女だろう。

八岐大蛇や八塩折の酒の話のようになったのは、むしろ稲田神社と話が結びついたからだろう。おそらく、徳蔵には八瓶山の神に仕える巫女がいたのじゃなかろうか。