石になった男

福島県伊達郡川俣町

むかし、むかし、一人の男がおったど。その男は毎日、毎日、寝てばかしいてちっとも稼ごうとしなかったど。ある日いつものように男が寝てと、一匹の蛇がやって来て、男のぜえの周りをぐるぐる回っておったんだと。近所の人が心ぺえして男のぜえさ入ってみっと、誰も居なくてずない石が庭さころがってたど。
蛇に回らっち男は石になっちまったんだとさ。(川俣 阿曽政秀)

川俣町文化財保護審議会『川俣の昔ばなし』
(川俣町教育委員会)より

ぜえ、というのは家のこと。蛇が家の周りをぐるぐる回っていた、ということだ。しかし、なぜ怠け者の男が蛇に回られるのか、というとよくわからない。怠惰の戒めの話のようではあるが、「怠けていると蛇がくるぞ」というような俗信が有効なのだろうか。