昔、藤原の俵藤太秀郷という豪勇無双の武士がおり、瀬田の唐橋のたもとに棲む大蛇の化身の美女に頼まれ、三上山の大百足を退治した。秀郷と美女は一夜の契りを結び、美女は桔梗姫となる娘を産んだ。桔梗姫は自分の出自を知ることなく、後に平将門の妾となった。
将門は破竹の勢いで天下を伺っていたが、朝廷はこの征討に秀郷を向わせた。しかし、将門は常に影武者を置いており、本物の見分けがつかなかった。そこで秀郷は身を偽り、将門の家来となることでその秘密を探ろうとした。
こうして桔梗姫と秀郷は出会い、桔梗姫は秀郷が自分の父であることも知らずに心を惹かれてしまう。姫が秀郷に名をたずねると「私は半田の半七です」と秀郷は答えたという。そして、ついに桔梗姫は将門の秘密を秀郷に教えてしまった。
秘密を聞き出した秀郷は将門のもとを去り、敵将として将門を討ち果たすことになった。一方、桔梗姫は秀郷を恋慕すること止み難く、半田を訪ねて半七なる人を探し歩いた。しかしそのような人がいるわけもなく、尋ねる村人も戸を閉めて会ってくれなくなる。
喉が痛みだしたので、姫は半田沼へ降り水をすくおうとした。すると、水に映る自分の姿が大蛇となっていることに気がつく。姫はもはや自分は魔神に変わった、と思い、半田沼は小さかったので、山ひとつ向こうにある菅沼へ行き、ヌシとなった。