愛媛県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 鬼,蛇
資 料 郷土研究 3巻2号
場 所 温泉郡
要 約 亥の子の子供たちは、「亥の子亥の子、亥の子の晩に餅搗いて祝わぬ者は、鬼うめ蛇うめ、角の生えた子うめ」と歌いながら、家々の門前を廻った。

話 名 烏蛇
資 料 郷土研究 4巻4号
場 所 愛媛県
要 約 烏蛇に馬の糞を投げつけるとどこまでもその人を追いかけてくるという。その時は竈の上まで逃げれば、荒神様の力で蛇は危害を加えることができないという。

話 名 蛇神
資 料 土俗と伝説 1巻3号
場 所 愛媛県
要 約 頭が猿、足が犬で尾が蛇である怪獣を切ったところ、各部分が別のところに着き、蛇神・猿神。犬神となった。その後狐つき等も入ってきた。蛇神の憑く家系があったが蛇の嫌いなものを撒くと、帰るといって離れていく。

話 名 蛇神
資 料 民族と歴史 8巻1号/通巻43号
場 所 愛媛県
要 約 蛇神一名蛇持ちの人があって、誰かを憎いと思ったり、欲しいものが手に入らなかったりするととり憑く。憑かれた人は某方の蛇であると口走りながら、蛇のような狂態を示す。このような場合は医者には見せず山伏や巫女を招いて祈祷をし、死に至らしめることもある。蛇持ちの家は蛇筋といい、代々続くものと信じていた。

話 名
資 料 民族 3巻4号
場 所 今治市
要 約 八右衛門という村のために尽くした庄屋が死んだ。野辺送りの人が帰ってみると、家の戸口に、額に八の字のある蛇がいた。その蛇は八右衛門が作った銅堰の石垣におり、突いたりすると腹が痛くなるという。

話 名 鵺,大蛇,箭
資 料 旅と伝説 3巻新年号通巻25号
場 所 上浮穴郡
要 約 源頼政の母は大蛇であって、息子に手柄を立てさせたくて、鵺に化けて現れた。そうして頼政に射らせた。その時の箭があり、毎年二本ずつそろった矢竹を生やす。

話 名 蛇石
資 料 旅と伝説 3巻11号通巻35号
場 所 喜多郡
要 約 中山川の蟹瀬という淀みに蛇石という珍しい石がある。8尺×4尺位の自然石であるが、大州藩主が白に運び入れても元の場所に戻り、再び運ぼうとしたときにはビクともしなかったという。

話 名 蛇石
資 料 旅と伝説 3巻11号通巻35号
場 所 喜多郡
要 約 巫ヶ淵は大州臥龍の淵に通じている。ここにぢ大蛇の巣があり、蛇石は大蛇の玩具であるという。鎌倉山頂に蛇石をはこんで人々を害を与えたため、雲峰山天龍院の僧が大蛇を鎮封して禍を根絶やしたといわれている。今でも、鰻の子に似た蛇虱(じゃしらみ)というものがいるらしい。

話 名
資 料 旅と伝説 4巻1号通巻35*号
場 所 愛媛県
要 約 源頼政の母の病が重かった頃、頭は猿、尾は蛇に似た鵺という怪獣が京都の紫宸殿に現れ、頼政が退治を命じられた。仁平3年4月7日、頼政は母から贈られた矢で鵺を射落とした。その夜、母は他界したが、鵺は現れなくなったという。退治された鵺は斬られて摂津の川尻へ流されたが、四国に流れ着いて祟りをなしたとか、頭は讃岐に着き猿神に、尾は伊予で蛇神に、手足は土佐、阿波に着いて犬神になったともいわれる。

話 名 大蛇
資 料 民間伝承 9巻8号
場 所 愛媛県
要 約 子供が打ち身をしたときは、「猿沢の池の大蛇が焼け死んだ アビラオンケンソワカソワカ」と唱え、指で唾を3回塗ってやる。また、のどに魚骨を差した時は「センタイソコの鯛の骨 アビラウンケンソワカソワカ」と唱える。

話 名 入らずの間
資 料 女性と経験 2巻2号
場 所 南宇和郡
要 約 庄屋の奥さんが音なし奥という山で蛇になった。それから、主人が病んで庄屋は滅びた庄屋の田植えには必ず雨が降り、その日は庄屋に蛇が出ると言う。

話 名 大蛇
資 料 女性と経験 2巻2号
場 所 南宇和郡
要 約 僧都の蛇淵は3人で囲む位だった。うちのばあさんが馬を追って草刈に行ったとき、馬が蛇淵で動けなくなったが、そこには大きな蛇がいた。

話 名 七人ミサキ
資 料 民俗 通巻24号
場 所 南宇和郡 一本松村
要 約 一本松村小山には七人ミサキが祀ってある。蛇体の若宮様がいて、七人ミサキは、そのツテか何かの人が7人死んだのだという。

話 名 白蛇
資 料 民間伝承 22巻9号
場 所 北宇和郡 成妙村
要 約 昔、太宰家で紋付を出そうとしたが、櫃がどうしても開かない。櫃を叩き壊すと白蛇がいたので殺した。それからは、生まれる子みなに三つ鱗がついていた。太夫さんに祈祷してもらい怪異はやんだが、それから紋所を三つ鱗にした。

話 名 やけどのまじない,(俗信)
資 料 あゆみ 2号
場 所 上浮穴郡 久万町
要 約 やけどのまじないには「猿沢の池の大蛇が焼けて 天竺の河原のアカノ水、黒うもすな暮もすな アビラウンケンソワカ」と言うといわれている。

話 名 止呂淵,蛇
資 料 あゆみ 3号
場 所 西条市
要 約 夜更けに留守にしていた道忠が帰宅し、その妻と2人で床についたが、朝には夫の姿が無かった。数日後、本当の道忠が帰宅し、前の者が偽者だったことが判った。妻はそれ以後気が狂ったようになり、後に数十匹の蛇の子を産んだ。それを捨てたところ、蛇は竹になり藪を作った。これを一蔵藪という。止呂の蛇神が道忠の姿に化けたのだという。

話 名 公焼の渕,大蛇
資 料 あゆみ 4号
場 所 四国中央市 富郷町
要 約 黒蔵の関助が木を伐っていると斧が飛び、中の川谷にある公焼の淵に沈んだ。斧を取りに淵底に行くと御殿があり、姫が斧を返してくれた。以来、姫は毎年土佐へ向かう途中、必ず関助の家で一泊するようになったが、部屋を覗くことは禁じられていた。ある年、関助が禁を破り部屋を覗くと、部屋いっぱいに大蛇がいた。姫は二度と会わないと言い残して去り、関助の家はその後没落した。

話 名 キュウリ,かぼちゃ
資 料 あゆみ 4号
場 所 四国中央市 富郷町
要 約 ある家の子供がキュウリを盗み、先方の家から躾が悪いと叱られた。先方ではどう躾けているのかと尋ねたところ、相手は子供を3つに斬ってしまった。以来、瀬井野のウスラヤ(現在は豊坂屋)ではキュウリを作らないという。また、大きなカボチャを切ったら中から蛇が出てきたので、以来、城師のヌルイではカボチャを作らないという。

話 名 蛇,俵,マケ畑
資 料 あゆみ 4号
場 所 上浮穴郡 久万高原町
要 約 久万町下直瀬の滝ノ河に元神社があり、城跡でもあった。そこの大木を焼くと、中から蛇が出てきて鳴いたという。また、稗を作って俵にし、山から転がしたところ、俵が山上に向かって逆転したという。また、犬や猫を埋めた「マケ畑」という土地があり、入ると祟るといわれている。

話 名 トンビョウ神
資 料 あゆみ 4号
場 所 四国中央市 富郷町
要 約 「つきもの」の信仰があり、トンビョウサン・トンベ神など蛇をまつる信仰である。これは家筋で、この家筋とは縁組を嫌う。1尺ほどの首玉のついた小蛇で、恨みのある相手を襲い、祟るという。

話 名 大蛇
資 料 あゆみ 4号
場 所 松山市
要 約 毎日丹波池で泳いでいた吾作が、盆の16日に、池の奥から出てきた大蛇に呑まれかけた。吾作はこのことを村人たちに告げた。1年後の盆の16日に若者が泳いでいると、また大蛇が出てきた。若者は村人にその事を話し、以来、盆の16日に丹波池で泳ぐものはいないという。

話 名 ジャの耳
資 料 あゆみ 6号
場 所 伊予郡 砥部町
要 約 昔、峠にジャ(蛇)の耳が切れて落ちていたので、そこを人々がミミキレと呼ぶようになったという。

話 名 メクラヘビ
資 料 あゆみ 6号
場 所 伊予郡 砥部町
要 約 昔、庄屋をしている芳賀家に勇敢な女性がいて、関が原に参加して帰ってきたが、家の恥だと殺されてしまった。以来、猿谷にメクラヘビという盲目の蛇が出没したので、神に祭った。これが芳賀大明神で、今でも蛇はいるといわれている。

話 名 大蛇
資 料 あゆみ 6号
場 所 松山市
要 約 温泉郡久谷村窪野を流れる小川に大蛇がいて、食物を求めて娘や美男に化けて住民を脅かしていた。それを知って坊さんが渕に毎日通い蛇に食物を与えた。以来、蛇は渕を住処にし、坊さんがくるのを待った。長い間とぐろを巻いて棲んでいたので、岩が削れてかがす型になったという。

話 名 白蛇
資 料 あゆみ 8号
場 所 松山市
要 約 塞の神は長師・熊田・鐃などにある。鐃の塞の神は松そのものが信仰対象で、そこに大きな白蛇がいる。この蛇は塞の神の使いであるという。

話 名 蛇聟,蛙の恩返し
資 料 あゆみ 8号
場 所 松山市
要 約 爺さんが山に行く途中で蛇から蛙を助ける。爺さんには美人の娘がおり、蛇が男に化けて娘のところへ来る。娘は男に惚れたが病気になった。遍路がきて、大杉の木のてっぺんにある鷲の卵を食べさせろと教える。娘が男に頼むと、男は蛇体で木に登ったが、巣にかかろうとするところで鷲に食い殺されたという。

話 名 藁しべ長者,うわばみ
資 料 あゆみ 8号
場 所 松山市
要 約 年の暮れに、貧乏人が藁3本を持って旅に出た。葱を洗う女に藁をあげ、三年味噌をもらう。その味噌をやって寺に泊まる。和尚が味噌を隠すが、小僧が教えて錆刀を持ってくる。夜に大蛇を退治して和尚に金をもらい、家に帰って節季の払いをしたという。

話 名
資 料 あゆみ 8号
場 所 松山市
要 約 木挽の一人娘・お初が死に、女房は泣き暮らしていた。山で蛇の子を見つけ懐かれたので「おはつ」と名をつけて飼っていたが、村人が恐ろしがったので殺すことになった。蛇が夢で娘の生まれ変わりであることと両親を幸せにする代わりにお寺を建てることを頼んだ。蛇が死んだところに寺を建て、おはつを祭った。老夫婦は安気に暮らしたという。

話 名 蛇骨
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 松山市
要 約 湧ヶ淵には昔大蛇が住んでいた。美女になって現れた大蛇を三好秀勝という者が鉄砲で撃ち取った。その蛇骨が三好家の子孫に伝えられているという。大旱魃の時には、この淵に雨が降るように祈る。毎年11月23日には蛇骨祭を行い、供物を橋の上から流す。

話 名 大蛇
資 料 あゆみ 10・11合併号
場 所 松山市
要 約 侍が妻夫山へ鳥を取りに行ったところ1羽もとれず、煙草を吸っていた。松の大木があったので吸殻を落とそうと思って木を叩くと、松が動いた。それは大蛇だったという。

話 名 (俗信)
資 料 あゆみ 8号
場 所 愛媛県
要 約 一富士・二鷹・三茄子の夢が良いという。葬式・火事の夢は良いという。棺桶が家へ入る夢は良いが、反対に出て行く夢は悪いという。親の夢をコタオマエといい、不幸があるという。蛇の夢は良いが、3日間人に言ってはいけないという。歯が抜けた夢は良くないという。子供が生まれる夢を見ると、人が死ぬという、など。夢に関する俗信。

話 名 いらずやぶ
資 料 あゆみ 10・11合併号
場 所 松山市
要 約 田の中に、少しだけおなご竹が生えている場所があり、「いらずやぶ」といった。五輪さんがたくさんあり、大蛇が出るといわれていた。ここに働きかけた人が、2人とも元気だったのに突然死んだことから、因縁のあるところではないかといわれている。

話 名 烏蛇,馬糞,(俗信)
資 料 郷土研究 3巻8号
場 所 松山市
要 約 烏蛇(クロヘビ)に馬糞を投げるとどこまでも追ってくるといわれている。

話 名 白蛇
資 料 あゆみ 12号
場 所 今治市 玉川町
要 約 畑寺の竜口の谷に、神通力を持った大きな白蛇がいた。白蛇は反対側のケタの谷に移動することもあり、雨が降らない年はここで雨乞いをする。ここで白蛇を見ると必ず雨が降る。ある年の雨乞いに祈願しようとすると、白蛇が現れてケタの山の頂上に連れて行った。村人はそこに池を造ったという。

話 名 (俗信)
資 料 あゆみ 12号
場 所 今治市 玉川町
要 約 お腹をサルに踏ませると、兄弟がそっくりになるという。メンドリが鳴くと、悪いことがあるという。生き物を殺すと、夜に耳に入るという。蛇を指差すと、その指が腐るという。火遊びをすると、寝小便をするという。悪い夢を見たらすぐに他人に話すという。ほうき星が飛ぶと、戦争が始まるという。笑いながら柿の木から落ちると、死ぬという、など。吉凶に関する俗信。

話 名 てんのおさん,(俗信)
資 料 あゆみ 12号
場 所 今治市 玉川町
要 約 てんのおさんの木を切ってはいけないといわれている。白い蛇が出るし、枝を切っても祟りがあって熱を出すという。ここは女人禁制であるという。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻13号
場 所 伊予市
要 約 高野川や三秋の大池では、昔から大蛇の姿を見た人が多くいる。話者は大蛇がとぐろを巻いて鼾をかいてねているのを見た。また大蛇を見た者は金持ちになるといわれるが、実際財産家になった人がいる。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻16号
場 所 南宇和郡 西海町
要 約 権現山に大蛇がいる。鹿を追うのにとてもはやく、草がなびかないという。おといさんは山道で大蛇に出会い失神し、明け方の夜露で気付いて家に帰った。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻16号
場 所 南宇和郡 西海町
要 約 大正の終り頃原田清重さんは峠で大蛇の胴体が自分の目の前にあることに気付き、自分の家に逃げ帰ったが幾日も高熱を出した。同じ日に覚兵衛さんもほとんど同じ場所で大蛇を見てそのまま親類の法事に行ったが、失神したような姿であった。同じ日に、親類の女達も峠でとても生臭い所を通った。

話 名
資 料 伊予の民俗 通巻16号
場 所 愛媛県
要 約 横吹渓谷で昔、里の若者が毎日笛を吹いていた。ある日笛を吹いていると一人の美女が現れた。そうするうちに二人は恋を語るようになった。ある日若者が笛を吹いても女が現れないので歩き回り、鏡石へ目をやると蛇体が女に変わって写っていた。女は最後に笛を吹いてくれと頼み、男が笛を吹くと、女はその曲につられて蛇体となって男を抱え蛇淵に入った。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻26号
場 所 北宇和郡 日吉村
要 約 「おそごえ」という場所には大蛇が住んでいた。ある人がそこに木を切りに行くと大蛇が出てきて、あわてて帰ったという。また信心深い人がおそごえの滝で行をしたのちに、心臓マヒで亡くなった。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻27号
場 所 東宇和郡 城川町
要 約 杉乃瀬という所に金衛門という人が住んでいた。龍天寺に参詣した際に弁天様の宮祠があり、妻をもらえるように一心に拝んでいると、突然美女が現れた。妻に来てくれるよう思いを伝えたが、消えてしまった。夜になると大蛇が現れ、美女に変身した。妻になりに来たということだが、金衛門が断るとそれでは蛇王大権現として祭れと言った。

話 名 山オンバ
資 料 伊予の民俗 通巻27号
場 所 東宇和郡 城川町
要 約 ムンテキという場に上の平らな岩が何枚も連なっていて、その一番下の岩は板取川の山オンバ様が遊びにくる処と伝えられ、来ると大きな山鳴りがするという。またさしでた岩の奥に青白い蛇がいると伝えられ、山オンバ様の使いの蛇であるという。

話 名 大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻25号
場 所 温泉郡 重信町
要 約 蛇口という淵に住んでいた大蛇が洪水で流されたのを埋めたのが、蛇塚というところである。この蛇は非常に大きなもので、その姿を見たものは熱を出してしまったという。

話 名
資 料 伊予の民俗 通巻25号
場 所 温泉郡 重信町
要 約 庄屋の女中のところに、若者がいつも通っていた。奥さんが若者の裾に糸を縫い付け後を追うと、それは淵に住む蛇だった。女中は驚き嘆いたがすでに身篭っていた。女中は決心して淵に飛び込んで死んでしまった。

話 名 蛇,清姫のたたり
資 料 伊予の民俗 通巻29号
場 所 愛媛県
要 約 土佐の長曽我部氏に攻められた勧修寺本詮の娘清姫が山中に隠れていた。欲深い猟師が恩賞に目がくらんで、長曽我部の兵に姫の居場所を教え、追いつめられた姫は自害した。猟師が家に帰ると、何度捨てても殺しても白い蛇が来た。子供が生まれても死ぬか体が不自由だったので法師に見てもらったら、清姫の祟りだった。

話 名
資 料 土佐民俗 通巻43号
場 所 愛媛県
要 約 職場に蛇憑きがいた。飲んで帰ってくると舌を出して舐めたり、屋外に出て石垣の隙間に顔をうずめる。祈祷師に見てもらうと、蛇が憑いていると言われて護符を飲ませると治った。

話 名 犬神
資 料 伊予の民俗 通巻37号
場 所 越智郡
要 約 犬神が憑くのを防ぐ方法として、胡麻を煎って仏様に寄せるという方法や、迷うような人に人に憑くので迷わないように注意することがあげられる。犬神や蛇神が憑いたときは石鎚の祈祷師に拝んでもらうと落ちるという。

話 名 トンビョウガミ
資 料 伊予の民俗 通巻37号
場 所 東予
要 約 東予地方の一部では、大正の初め頃までクチナ(蛇)の一部にトンビョガミがいて、その蛇を大切に飼っている家の人とケンカすると蛇群が襲い、蛇神に憑かれるといって恐れられた。

話 名 蛇持ち
資 料 伊予の民俗 通巻37号
場 所 中予
要 約 中子のX町の蛇持ちの家は、広島県蒲刈町から移住したといわれている。

話 名 大蛇,雨乞い
資 料 民間伝承 10巻5号通巻103号
場 所 宇和島市
要 約 庄屋に一人娘があった。娘は蛇と通じ、大蛇のひいた白糸についていって瀧壺に入ってしまった。娘の親が娘を捜して瀧に入ると瀧の下には青畳が敷いてあり、娘と大蛇がいた。娘は蛇に連れられてここに来たためもう帰ることは出来ないといい證文を書いた。娘は、この證文を雨乞いの県画として瀧壺にかけると雨を降らすと約束した。その年は日照りであったが、瀧壺のまわりで祈願をすると、小さい蛇が降りてきて、雨が降ってきた。庄屋の家は絶えたが、この県画は残っており、神官が保存している。今でもこの瀧壺での祈願は有効的である。しかし、他村の人が行っても、蛇は出てこず鰻が出てきて雨を貰うことはできない。

話 名
資 料 伊予の民俗 通巻37号
場 所 南予
要 約 南予の一部では蛇に憑かれると目から異様な光を発し、異常な動作を示す。蛇のようにのたうち回りながらはう。その状態を蛇ヅカレという。それを治すためには、棒を持って打ちのめしたり、「出刃包丁でぶった切るぞ」と脅す。

話 名
資 料 ひだびと 9巻5号通巻83号
場 所 上浮穴郡 久万高原町
要 約 雄池の雄蛇が、隣りの村の庄屋の息子に化け、夜毎ある家の娘を訪れていた。それを不思議に思った娘の母はある夜、娘の着物の袖に針を立てたが、翌朝、雄池まで血の跡があった。

話 名 ドンコ,エンコ,大蛇
資 料 伊予の民俗 通巻38号
場 所 愛媛県
要 約 昔、北が森のふもとに水たまりがあった。そこに三尺の赤ドンコと黒ドンコが住んでいた。ある日三津が浜のエンコというものがドンコをつかまえて食べようとした。帰り道の通し谷の大蛇がドンコにどこに行くと問うと、「背中をあぶりに行く」とドンコが答えた。エンコは自分の考えを知られていることを知り、怖くなってドンコをもとの北が森へ戻した。

話 名 蛇,百足
資 料 ひだびと 9巻5号通巻83号
場 所 上浮穴郡 久万高原町
要 約 ある爺が隣の爺の話を盗み聞きし、近くに金箱があると知り、それを掘り出しに行った。開けてみたら蛇や百足でいっぱいだったので、その爺が怒り出し、隣りの爺の家の屋根上から箱の中身を降り出したが、蛇や百足が金になった。

話 名 霊蛇
資 料 伊予の民俗 通巻37号
場 所 東宇和郡 宇和町
要 約 淵に蛇が住んで住民に危害を加えていたが、嘉永二年に宇都宮永綱が射止めた。ところがその蛇霊が祟るようになり、淵を平らげ、寺を造って蛇霊を断じた。

話 名 無縁仏,憑き物,蛇神,犬神,稲荷,山の神
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和41年度号
場 所 今治市
要 約 昔、ある人に無縁仏がついたことがある。憑き物はほかに蛇神、犬神、稲荷、山の神。話者はそのような憑き物落としをする。蛇神が憑くと物を言わなくなり、犬神が憑くとワンワン吠えるようになり、稲荷が憑くと油揚げと強飯を欲しがるのでわかる。話者によると、ある人が外の村に嫁いだところ、その家が憑き物筋だったので、以来この村にも憑き物が入って来たという。

話 名 憑き物
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 昔はよく狐・狸・蛇・人が憑いたといっては御祈祷衆を頼んだ。今の人はそれには頼らず、医者へ行く。

話 名 ジャガミサマ,蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和60年度号
場 所 喜多郡
要 約 用の山の新野恒友家では、ジャガミサマを屋外に祀っている。家の人が蛇を殺したのでその死骸を埋めてあるという。一度場所をずらしたら家の人が病気になり、みてもらうと蛇が憑いているといわれて元の場所へ戻した。そのあと、祭場は道路拡張の時に5センチほどずらした。

話 名 大蛇,白王様
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 白王様の大岩の下の洞穴は柏まで続いており、大蛇がいる。話者の伯母が子どものころ、友達と椎の実拾いに行ったら穴から白い大蛇が出てきた。必死で逃げながら振り返ると、いなくなっていた。

話 名 (俗信)
資 料 民俗採訪 通巻昭和60年度号
場 所 喜多郡
要 約 憑き物に関する俗信。人にはもう一つの性根があってその人の意識とは別にねたんだりうらんだりする相手にとりついたり、その人をいじめたりする。これをモノガラが憑くという。人のほかに犬神、蛇、キツネ、タヌキが憑くという。仏様がサワルということもある。憑かれると、苦しさを感じたり、モノバシル(へんなことを口走る)ようになる。特に弱い人に憑き、戌年生まれの人には憑きにくいともいう。

話 名 大蛇,白王様
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 大僧都の森の奥に大蛇がいた。木が横倒しになったりして、大蛇らしい跡があった。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和60年度号
場 所 喜多郡
要 約 山で蛇にサワられることがあるといい、蛇は何年も人に見られず山に籠ると大蛇になれるので自分は大蛇になろうとしているのに見られてしまったのをうらんでサワるのだという。

話 名 白王様,蛇
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 話者が家に帰ると、首に白い輪の模様のある蛇がいた。白王様のお使いだと思った。蛇は座敷に上がって見えなくなった。数日後、川の下流の大岩で同じ蛇を見た。また、田の中で大きくて尾が短い黒い蛇も見た。白王様のお使いだと思った。

話 名 (俗信)
資 料 民俗採訪 通巻昭和60年度号
場 所 喜多郡
要 約 竜王神社には蛇がすんでいる。

話 名 白王様,大蛇
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 土佐の孫八という猟の名人が僧都で鹿を撃った。鹿は白王様の大岩の下の淵に入った。孫八が行くと白い大蛇が鹿を巻いていた。孫八は「身はいらんから角だけくれ」と言って角をもって帰った。白王様の祠に鹿の角があるのはこの由縁。

話 名
資 料 民俗採訪 通巻昭和60年度号
場 所 喜多郡
要 約 滝本福之氏が父親から聞いた、60年ほど前に実際あった話である。大久保家の田でのことである。長浜から50歳くらいの太夫が来てその場で蛇を呼び集めてみせるといい、祈禱を初めて地蔵様を出してやるから手で触るなと、呪文をとなえかけ声をかけるとカシの木の根元の石のすき間から蛇が出てきた。青大将で風変わりなのが14、5匹出て、皆で拝んだ。太夫がまたかけ声をかけると石の隙間に入っていった。

話 名 大蛇
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 ある家の年頃の娘に、柳の主の大蛇が魅入って通った。親は柳を焼き討ちした。柳は臭い匂いと奇妙な煙を出して僧都川へ焼け落ちた。川下の酒屋が数日後、この大蛇の骨を川で拾ったので神棚に祭ったところ、この店は大変に栄えた。

話 名 大蛇
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 今治市 玉川町
要 約 竜口の谷に胴回り50センチもある白蛇がいた。この蛇は神通力を持っていて、風とともに峰から峰へ駆けるように飛んでいた。ケタの谷には地蔵が祀ってあり、旱天の時はここで雨乞いをしていた。このときに白蛇が現れると必ず雨が降る。ある年、雨乞いをしていると白蛇が現れ、村人をケタの山頂に導いた。村人はそこに池を築造し、お盆にはお礼踊りを行うようになった。

話 名 大蛇
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 大久保橋のコンピラサマの辺りから川の向こう岸に渡るのに、大蛇の上を渡った。ヘビとダイジャの違いは、ダイジャは大きくて角や足があるところ。

話 名 船霊
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 伊予郡 松前町
要 約 船霊はジージーといさむ。船霊は女、蛇、猪、猿、猫、味噌、ラッキョウが嫌い。これらは船上では忌み言葉となっている。

話 名 おべつ様,蛇
資 料 常民 28号
場 所 南宇和郡 城辺町
要 約 明治初年、ある人が漁に出たら海から白蛇が登ってきて船霊様フナダマサマの神棚で動かなくなったので、神様だと思って連れて帰った。白蛇はその辺りをうろうろしていたが、他所の男に殺されてしまった。その男の家は火事になり、男も焼け死んだ。白蛇の骨を拾って恵比寿様の所に祀った。それがおべつ様。

話 名 大蛇
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 伊予郡 砥部町
要 約 塩売りが淵辺で昼寝をしていると、淵の大蛇が出てきて塩売りを呑もうとした。すると塩籠に入れてあった剣が自然に抜け出て大蛇を撃退した。以来この淵をは「塩売り淵」と呼ばれるようになった。

話 名
資 料 四国民俗 33号
場 所 宇摩郡 土居町
要 約 もともと蛇渕と呼ばれた池の水は、讃岐の満濃池に通じており、いまだ水が枯れたことがないと古老はいう。

話 名 霊蛇
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 西予市 宇和町
要 約 安楽寺は昔淵であったが、そこに霊蛇が住んで庶民に害をなしていた。嘉元二年に宇都宮永綱がその蛇を射止めたが、その霊蛇が祟りをなすようになった。そこで嘉暦元年、その淵の半ばを平げ、大小二つの池を掘り、精舎を草創して霊蛇を断した。

話 名
資 料 四国民俗 33号
場 所 愛媛県
要 約 地域の子供達が中心になり、不用になった正月のしめ飾りで家状のものを作る。正月15日の小正月の朝にそれを燃やし、残った灰を家の周囲に撒くと蛇などは入ってこないという。これらの行事はトウド・トンド・トウドウサン・シンメイサンなどと呼ばれる。

話 名
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 愛媛県
要 約 南予地方の一部では、蛇に憑かれると眼から異様な光を放ち、異常な行動をする。蛇のようにのたうち回りながらはう。この状態を蛇ヅカレという。それを治すには、棒を持って打ちのめす。又ある村では「出刃包丁でぶった切るぞ」と脅すと治る。

話 名 大男,大蛇
資 料 愛媛県史 民俗下巻
場 所 愛媛県
要 約 新城ヶ森に大男がいたが、ある時村人がなぜ人を見ると角力を挑むのか尋ねると、大男は村に五月幟さえ立てなければ訳を教えると答えた。以後村人は幟を立てなかったが、ある年、新出でその禁を破って立てた者がいた。すると幟から大蛇が降りてきた。

話 名 竜宮,(俗信)
資 料 あゆみ 1号
場 所 越智郡 魚島村
要 約 航海安全や豊漁を祈って、船中で酒を飲むときには竜宮へ供えるとして酒を海にたらすという。

話 名 コリトラス,(俗信)
資 料 あゆみ 1号
場 所 越智郡 魚島村
要 約 刃物や茶袋を海に落とすと竜宮様が嫌うのでおことわりをする。そのような時には祈祷師などによって拝んでもらう。落としたものは親方に大変怒られ、海中に放り込まれることもあった。これをコリトラスという。梅干を海に落とすことも忌む。

話 名 蛇女房
資 料 あゆみ 8号
場 所 松山市
要 約 大晦日に、男が幸木の売れ残りを海中に捨てた。後、娘が訪ねてきたので夫婦になった。子供が生まれ、島原の殿様が妻を乳母に差し出せと言う。妻は竜宮から来た者だと告げて男に玉を渡し、子供に与えるよう言って去る。玉を殿様に取り上げられ、海岸を歩いていると女が竜宮界の3つの玉だという血筋の玉をくれるが、それも取り上げられる。男が村を去ると、島原城下は崩れたという。

話 名
資 料 あゆみ 通巻5号
場 所 西予市 野村町
要 約 昔、悪徳商人だった父を不正を悲しんでいた娘が、姫ヶ淵に身を投げて竜に化け、毎夜池に遊びにきているという。

話 名 竜王池
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 西宇和郡 神山村
要 約 竜王池の主は、昔美女となって五反田からこの池に渡って来たと伝えられている。そのため、雨乞いをする時は五反田の和尚が池の堤で祈り、袈裟を海に流す。これができるのは1回限りで、2階行うと和尚の命がないという。

話 名 竜,夫婦岩
資 料 あゆみ 通巻5号
場 所 西予市 野村町
要 約 昔、ある老婆が竜の仕業とされていた、どれほど川が流れても離れない夫婦岩を見に行った時、竜に会ってしまった。その後、病気を患って死んだという。

話 名 五月のぼり,(俗信)
資 料 あゆみ 12号
場 所 今治市 玉川町
要 約 五月のぼりは平家のものだから、大下・鬼原の人は源氏の子孫だといわれているので、のぼりを立てないという。竜岡中村の森部落でも、平家の落人が先祖だといわれているのでのぼりを立てない。また、森の先祖・掃部がのぼりに巻かれて死んだので、小さな座敷飾りをするだけになったともいう。

話 名 神隠し
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和41年度号
場 所 今治市
要 約 法事の帰りに娘さんがいなくなった。捜してみると、竜王様のところに下駄がそろえて置かれていた。何かに誘われたらしい。賢い人か足りない人が誘われやすい。

話 名 拝竜権現
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 大洲市
要 約 拝竜権現は毎年生きた人間をお供えしなければ祟る。毎年三月三日の朝早く、その道を三番目に通る人を捕らえてお供えしていた。この噂が広まってその日に人が通らなくなると獣類を捕まえて供えたが、お供えがなかった年は必ず近くの川で溺死する人が出た。

話 名 片目鮒,龍神
資 料 愛媛県史 民俗下巻
場 所 西条市 丹原町
要 約 久妙寺にある池の鮒は、左甚五郎が彫ったという本堂の竜神が抜け出して眼を抜かれた。

話 名 七不思議
資 料 郷土研究 3巻9号
場 所 松山市
要 約 松山の七不思議。松山城の内堀に住む蛙は鳴かない。8月の末になると長曾我部元親に敗れた伊予勢の怨霊が打つ陣太鼓の音がする。紫井戸という水が紫色の水溜りがある。里人が片身を焼いた鮒を弘法大師が放して蘇生させた。そのため片目である。弘法大師が芋を石に変えた。龍隠寺境内の木立で霧のような水気が降る。8月に討死した霊が怪火となって出る。

話 名 底無池,一つ目の龍
資 料 旅と伝説 3巻11号/通巻35号
場 所 大洲市
要 約 底無池の主は一つ目の龍であった。どんな早跋でも洪水でも水位は変わらず、泳ぐ魚は皆、片目であると言われる。

話 名 蛟龍
資 料 旅と伝説 4巻1号通巻35*号
場 所 喜多郡
要 約 今はその形跡もないが、半端の淵という底知れぬ淵があり、ここにいた蛟龍は人馬を悩ませ、また、シタノシの表にある柿の木で午睡をしたりして、容易に通ることもできなかった。主にこの蛟龍を退治するよう命じられた家来は沢山の木綿針を淵に投げ込んだ。その後、蛟龍は村の娘に化けて山伏に怪我を治してくれと頼みに行くが、娘に針が刺さっているのを見て、山伏は法力でこれを切り殺したという。

話 名
資 料 ひだびと 9巻5号通巻83号
場 所 上浮穴郡 久万高原町
要 約 上浮穴郡中津村のに源頼政の親子が住んでいたが、頼政が京に就職した。池に祈りに行った母は鵺となった。頭は猿で、体は龍の如く、そして、尻尾は八本あるという。その鵺が父二峰村を通った時に息を吹いたから、今でも多いこの村の霧が生じたという。

話 名 乙姫
資 料 ひだびと 9巻5号通巻83号
場 所 上浮穴郡 久万高原町
要 約 昔、炭を売る人はある日、買い手が見つからなかった炭を海に投げて龍宮にあげたが、夜乙姫がお礼として妻にしてくれるように頼みに来た。それを知った庄屋は乙姫を自分のものにしようとして、夫に幾つかの難題を出すが、毎回乙姫がそれをといてくれて、やがて庄屋が死に、炭売りは新しい庄屋となったという。

話 名 竜神
資 料 伊予の民俗 通巻16号
場 所 北宇和郡 日吉村
要 約 大昔、龍神の二人の姫が四万川を目ざして登っていった。しかし歩いても歩いてもつかないので病弱だった妹はあきらめて途中の地に住むことになった。それが日向谷である。姉は峠をこえてさらに行き、四万川に住みついた。その姉妹を祀ったものが龍神様といわれ、わたつみ神社(日向谷)として祀られている。

話 名
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 愛媛県
要 約 大山祗神社では、旱魃時に神社の馬場で千人踊をし、それでも降雨なき時は神苑中の弁才天池を排水する。すると池の龍が水を吹くので、いかなる日照りにも雨が降るのだという。

話 名 リュウゴンサン
資 料 愛媛県史 民俗上巻
場 所 今治市 吉海町
要 約 リュウゴンサン(龍王神)は海中に刃物を落すと祟る。万一落とした時は五色の糸を供えておことわりをする。

愛媛県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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