神奈川県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 雨乞,大蛇
資 料 あしなか 通巻40号
場 所 神奈川県
要 約 農家の人たちが麦藁で芯を作り、藁で巻いて大蛇を作って、三ツ沢池に入れる。池の主は一匹の大蛇で、藁の大蛇を入れると池から出て雨を降らすという。

話 名
資 料 民俗学 5巻5号
場 所 横須賀市 公郷町
要 約 猿島にあった春日神社の8月下旬の例祭の前後には、毎晩のように上総の鹿野山から猿山にかけて泳ぐ蛇がいた。神社を猿島から横須賀に移してからは蛇が泳ぐ話もなくなった。

話 名 池の主,蛇
資 料 民俗 通巻4号
場 所 横浜市 保土ケ谷区
要 約 二俣川町本宿の池の主は、頭が2升樽、長さが2尺5寸のぶっきら棒な蛇であるという。

話 名 大蛇
資 料 民俗学 5巻10号
場 所 南下浦村
要 約 雨崎という所に大きな堰があった。今は井戸が残っている。井戸に祈りかきまわすと雨が降る。雨崎と房州の間を大蛇が往来する。五月雨の頃には、親は子供に雨崎に行かないように言う。行った者は熱病に罹る。麦の穂が出はじめた頃、草木が薙ぎ倒され道がついたことがあった。

話 名 大蛇
資 料 民俗 通巻8号
場 所 横須賀市
要 約 昔、ある人が畑を耕していると、土の中の丸い穴から大きな蛇が出て来た。地面にさしたフズキグワに着物を掛けたまま逃げ出した。蛇はそれを人間と思って呑んでしまった。そのため、蛇は死んでしまい、ある家でその骨を秘蔵していたという。

話 名 大蛇
資 料 ひでばち 通巻1号
場 所 津久井郡
要 約 ある人が水車にいると水がだんだん減って車が止まりそうになった。不思議に思い出て見ると大きな蛇が横たわっていた。びっくりして家に帰りそのまま4,5日寝込んだ。

話 名 大蛇
資 料 ひでばち 通巻1号
場 所 津久井郡
要 約 内郷村の石老山に大きな蛇がいて、その通った跡は草が両方に分けられていたそうだ。

話 名 オンジ
資 料 ひでばち 通巻3号
場 所 三浦市
要 約 萱原の中で何も生えていない場所があったが、それは怖い蛇の住んでいる場所だといわれた。

話 名 大蛇
資 料 民俗 通巻38号
場 所 横浜市 生麦村
要 約 数百年前、生麦に住む男が亡妻との約束を破って再婚した。亡妻は大蛇となって池から現れ、男を襲った。男は亡妻の霊に謝罪し、供養した。何年か後、一帯に悪疫が流行し、稲荷神社へ走る狐の声を聞く者や、大蛇が魔疫病をくわえて稲荷の森から海上に立ち去る姿を夢で見る者が出た。村人は稲荷大神のお告げに従い、かやで大蛇を作って家々を回ったという。

話 名 龍宮
資 料 旅と伝説 3巻9号通巻33号
場 所 小田原市
要 約 昔、貧乏で正直な葱売りの男が龍宮から美しい姫を嫁にもらった。国司がその妻を奪おうとして無理難題をふっかけたが、最後は姫が大蛇になって国司の首を絞め殺した。大蛇はそのまま龍宮に帰り、男は元の葱売りに戻って揖請をすごしたという。

話 名 大蛇
資 料 ひでばち 通巻15号
場 所 横浜市 金沢区
要 約 トノヤマには大蛇が棲み、多くの人がこれを見た。また夜になると海を渡り千葉へ行ったともいわれる。

話 名 蛇の祟り
資 料 民間伝承 5巻3号
場 所 横浜市 港北区
要 約 ある男が、一本松の後の塚の周囲で草を刈っているときに、誤ってお使いの蛇の目を少し傷つけてしまった。すると、傷つけた本人は無事だったが、地主の家に代々目の悪いものが生まれてきた。困って「見てもらった」ところ、理由がわかって供養したので、障りは消えたという。

話 名 大蛇
資 料 民俗 通巻48号
場 所 横浜市 港北区
要 約 昔、ある村に住む美しい娘の元に、夜ごと、前髪立ちで小袖を着た美しい若衆が通ってきた。いつしか娘は身ごもったが、若衆は名も家も告げない。ある夜、若衆の髪に縫針を刺すと、以後若衆は来なくなった。家の者が山の中を探すと蛇の穴があり、針の鉄の毒がまわった蛇がウメキ声をあげていた。娘を菖蒲湯に入れると、大蛇の腹子が全部流れたという。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 5巻7号
場 所 横浜市 港北区
要 約 蛇とマムシに関する俗信。蛇の抜け殻をしまっておくと着物が増えるという。蛇の話をするとき、指で太さを現すことを禁じるという。蛇に追いかけられたら、何度も直角に曲がって逃げろという。蛇が好むと言われているヘビイチゴを嫌うという、など。

話 名 大蛇
資 料 常民文化研究 通巻5号
場 所 神奈川県
要 約 三廻部山にいる大蛇を見ると死ぬといわれていた。ある時、薪を取りに行ったお百姓さんが行方不明になり、3日後、のら着とわらぞうりだけが見つかった。大蛇が通った形跡も見つかったので、大蛇に飲まれたのだろうと言われた。

話 名 髑髏,大蛇
資 料 日本随筆大成第二期 5巻
場 所 鎌倉市
要 約 鎌倉の深沢で洪水があり、いたるところで山崩れが起きたが、その時差し渡し3尺の髑髏が出土した。歯の大きさは1寸8分程あったという。江の島の縁起にいう、深沢の大蛇のことか。

話 名 大蛇
資 料 常民文化研究 通巻13号
場 所 小田原市
要 約 箱根神社の芦ノ湖へ、お祭りのときに毎年新しい鉢を作って赤飯を入れて沈めるいわれがある。湖の底に大蛇がいて、湖が荒れていけないからだと言う。今でもやっている所がある。

話 名 蛇形の大曼荼羅
資 料 日本随筆大成第二期 9巻
場 所 鎌倉市
要 約 文応元年9月に日蓮上人が比企谷にて、蛇形の大曼荼羅を書き、讃岐局の冥苦を救ったという。

話 名 大蛇
資 料 常民文化研究 通巻13号
場 所 小田原市
要 約 足柄山には大蛇がいて、7回り半巻いたという話を聞いたことがある。

話 名 素盞嗚尊,蛇の形をした石
資 料 神奈川県史 各論編5 民俗
場 所 津久井郡 相模湖町
要 約 牛鞍神社の祭神は素盞嗚尊であるが、この神社のご神体である蛇の形をした石は、以前、別の寺に移そうとして運んだところ、その途中で重くなったり軽くなったりしたという。また、この神は神楽が嫌いで、大正の初めにそれをしたところ、悪疫が流行したという。

話 名 蛇,祟り
資 料 常民文化研究 通巻13号
場 所 神奈川県
要 約 大きな蛇を殺したら、その地方の人が全部具合が悪くなった。先達に聞くと蛇の祟りだという。

話 名 蛇の聟
資 料 神奈川県史 各論編5 民俗
場 所 津久井郡 藤野町
要 約 ある蛇が人間の娘に惚れてしまい、青年の姿となって娘のところに通うようになった。娘の母が心配し、青年の着物に紐を結びつけるよう娘に言いつけた。その紐を辿って山中の岩屋の中を窺ったところ、中で、娘との間に子供を作ってはきたが、5月の節句に菖蒲酒を飲まれれば子供はみんなおろされてしまうと言っていたので、娘と母親は急いで帰ってその通りにした。

話 名 大蛇,(竜)
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 横須賀市
要 約 大蛇(竜)が漁民を襲うので、行基が祈って滅ぼし、霊を弔う寺を建てた。

話 名 運定め,神様
資 料 神奈川県史 各論編5 民俗
場 所 藤沢市
要 約 ある狩人が夜遅くなってしまうのでお宮に泊まっていると、神様がその狩人の家に生まれた子は「7つで水で終わる」と言っていた。この子供が成長して、ある日友達と釣りに行こうというとき、川上へ向かう途中で大蛇が出てきて狩人の子供を飲み込もうとした。神様の言葉を聞いて心配していた狩人は、用意していた銃で大蛇を撃って子供を助けた。

話 名 大蛇
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 相模原市 淵野辺
要 約 竜池の大蛇を淵辺伊賀守義博が退治した。大蛇は三つに裂けて飛び散ったので、それぞれの土地に寺を建てた。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 藤沢市
要 約 江の島の近くの山寺に禅僧がおり、日夜法華経を読誦していた。そこに夜毎女が来て聴聞し、夜が明けると忽然として姿を消した。禅僧は怪しみ、女の着物の裾に糸をつけた。翌朝糸をたどると、岩穴の中にいる竜の尾に糸がついていた。このため竜神を祀る江尻大明神には法師の参詣が禁じられていたという。

話 名 竜骨
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 藤沢市
要 約 宗賢院の竜骨堂に祀られている竜骨は、明治の初年に寄進されたものである。旱魃の時にこの竜骨を小川に持ち出して水を注ぐと雨が降ると伝えられている。また、単に撫でるだけでも雨が降るという。

話 名 竜神
資 料 近畿民俗 通巻58号
場 所 秦野市
要 約 雨乞いには、法印様を先頭にして雨乞岳に登り祈願をし、帰りに黒滝に木の枝を投げ込む。すると竜神が怒って雨を降らすという。

話 名 竜神様
資 料 常民文化研究 通巻4号
場 所 神奈川県
要 約 芦ノ湖の竜神様と山中湖の竜神様とは夫婦で、芦ノ湖が男体で、山中湖が女体であった。7月15日の月夜の晩に、芦ノ湖の竜神は山中湖の竜神に会いに行った。その日は山王の波元が白く盛り上がり、百姓は豊作と水が出ないことを祈ったという。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻4号
場 所 神奈川県
要 約 松の大木の根っ子に大きな穴が開いていて、そこから水が流れ出していた。激しい嵐の日に竜が天からこの松の木に下りてきて土に入った穴で、その竜の胴体が五反田のあたりの田んぼにうずまっていると言う人もいる。

話 名
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 足柄上郡 中井町
要 約 米倉寺の、左甚五郎の彫刻の竜が川の水を飲んだので、眼を潰した。

話 名 竜神
資 料 神奈川県史 各論編5 民俗
場 所 秦野市
要 約 雨乞いは、以下のようにして行われる。法印を先頭に鉦や太鼓鳴らしながら雨乞岳へ登り、山頂で祈願した後山を下りる。その途上、四十八瀬川の上流付近にある黒竜の滝へ六根清浄を唱えながら木の枝を投げ込むのだ。すると、竜神が怒って雨を降らせるのだという。

話 名 龍灯木
資 料 民俗学 5巻10号
場 所 浦賀町
要 約 信誠寺に龍灯木跡という碑がある。昔、碑のあたりに一大樹があって、毎夜木の上に火が灯った。人々は、海から龍が上って献ずるのだと言いはやした。そのため龍灯樹と言うようになった。

話 名 九頭龍権現,毒龍
資 料 神奈川県史 各論編5 民俗
場 所 足柄下郡 箱根町
要 約 箱根神社の祭神、九頭龍権現の由来は以下のようなものであると言われている。昔、芦ノ湖に住む毒龍が娘を人身御供としていたところ、万巻上人がこれを調伏した。以後、この調伏された毒龍は九頭龍権現となって箱根の山を守護しているのだという。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻6号
場 所 小田原市
要 約 足柄山のふもとの村に住む娘が、山に木の実を拾いに行くと、天から龍が下りてきて娘の腹の上に乗り、生まれた子供が金太郎であるという。

神奈川県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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