伊豆諸島の竜蛇
門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 郷土研究 4巻5号 |
場 所 | 新島 |
要 約 | 新島の白鳩を大蛇が追いかけた。差地山の躑躅で目を突いて飛べなくなった白鳩を大蛇は殺して三宅島に逃げようとした。しかし新島の大三皇子(ダイサンオウジ)と母神が大蛇を退治し、骨は八丈島に、胴は三宅島に、屍は新島にそれぞれ分けられた。そのため新島の蛇は人に食いつかず、三宅島には蛇が住まず、差地山の躑躅は花が咲かなくなったという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 島 1巻2号 |
場 所 | 三宅村 |
要 約 | 1月24日に行う行事にまつわる蛇退治の伝説がある。昔、事代主命が蛇退治をした時、御子神ならびに御后神などが飛行して三宅島の頂上に集まって謀をしたことを祭るのだという。 |
話 名 | 三島明神,大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 12号 |
場 所 | 三宅村 |
要 約 | 往古、三宅島で三島明神(事代主命)が大蛇退治をした時、各島々の神も働いたので褒美を与えることになった。そのとき、利島の預り明神が褒美に貰った水を神津島の長浜に置き忘れてしまった、長浜明神がそれをとって隠してしまった。そのため、利島では今でも水が不自由で、神津島の長浜には清水の流れができたのだという。 |
話 名 | 海神,毒蛇,大蛇 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 三宅島 |
要 約 | 神代の昔、三宅島中根の漁夫が不漁の為に大漁と引きかえに、海神に向かって娘を差し出す約束をした。だがすぐに後悔し、かわりに妾を差し出したが、毒蛇(大蛇)は許さずどこまでも人々を巻き込み荒れ狂って娘を追い続けた。娘は神々の加護により神通力を得、白い鷹、白い鳩、虫になり逃げ回りながら守られた。 |
話 名 | 神力 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 三宅島 |
要 約 | 神代の昔、三宅島中根の漁夫が大漁になることと引きかえに、海神に向かって娘を差し出す約束をした。だがすぐに後悔し、かわりに妾を差し出したが、毒蛇は許さずどこまでも荒れ狂って娘を追い続けた。娘は神々の加護により神力を得、白い鷹、白い鳩、虫になりあちこち逃げのび、遥か後で人皇の御代になった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 御笏神社の本殿には、大蛇を退治したという剣が祀られている。魔除けになるので、正月2日には各戸に担ぎ込んでお祝いをする。 |
話 名 | 鈿女 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 東京都 |
要 約 | 神代の昔、三宅島中根の漁夫が大漁になることと引きかえに、海神に向かって娘を差し出す約束をした。だが後悔してかわりに妾を差し出したが、毒蛇は許さずどこまでも荒れ狂って娘を追い続けた。娘は鈿女や神々に守られ神力を得、白い鷹、白い鳩、虫になり逃げのび、後で娘は神になり人皇の御代になった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 船頭が大路池に小石を投げ込んだら、大蛇の姿が池の上に現れた。今でもここにお参りするときは小石を投げ込むことになっている。 |
話 名 | 八百万の諸神 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 三宅島 |
要 約 | 神代の昔、三宅島中根の漁夫が大漁になることと引きかえに海神に向かって娘を差し出す約束をした。約束を破られた毒蛇はどこまでも荒れ狂って人々を巻き込み娘を追い続けた。娘は神々に守られ神力を得、別の生き物になり逃げのびた。荒れ狂う大蛇に八百万の諸神は武器で挑み最後は寸々に体を切りきざんだ。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 大蛇が悪戯したので三島明神が家来に退治させた。大蛇の頭は八丈島に飛んで蝮に、胴体は御蔵島に飛んで青大将に、尾は大島に飛んで縞蛇になった。刀を作ったのが打出明神、私がやると言った家来が差出明神。 |
話 名 | 水神,大蛇 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 新島 |
要 約 | 大昔、近江の琵琶湖に住む漁夫が、不漁の続く際娘を捧げるかわりに大漁を祈った。すると魚が良く捕れ水神が蛇となって娘をもらいに来た。娘は白鳩になって逃げ出し新島まで追い詰められた。そして逃げ込んだ差地山の躑躅の枝で目をつき、飛べなくなって喰い殺された。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 箱根の漁師が、大蛇に娘をやる約束をしてしまった。末娘が行くことにすると、日頃信心していた三島明神が三宅島に来いと言う。火土寄神が剣を作り、差出明神が退治した。 |
話 名 | 大三王子 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 東京都 |
要 約 | 大昔、近江の琵琶湖に住む漁夫の娘が大漁を祈って水神の生贄に差し出された。白鳩になって新島へ逃げたが、蛇になって追い詰めた水神に喰い殺された。怒った島の三島明神御子大三王子は剣を抜いて大蛇を切り殺して退治した。後、新島大三山に大三王子神社が建ち、退治に使った剣が納められ今も伝えられている。 |
話 名 | 太刀 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 差出明神が大蛇を退治した太刀は支庁に保管されている。太刀を江戸の研ぎ屋に出したら研ぎ屋が悪心を出してすり替えたが、毎夜光るので恐ろしくなり、「間違えました。申しわけない」といって返してきた。 |
話 名 | 大蛇,蛇 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 新島 |
要 約 | 大昔、近江の琵琶湖に住む漁夫の娘が大漁を祈って水神の生贄に差し出された。白鳩になって新島へ逃げたが、蛇になって追い詰めた水神に喰い殺された。怒った島の三島明神御子大三王子は剣を抜いて大蛇を切り殺して退治した。後、新島大三山に大三王子神社が建ち、退治に使った剣が納められ今も伝えられている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 差出明神が大蛇を退治した。大蛇の血で赤くなった浜が血走り浜。新島に尻尾を縛ったので新島の浜は窪んでいる。退治した太刀が御笏神社にあるので三宅島に蛇は寄り付かない。 |
話 名 | 躑躅 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 新島 |
要 約 | 大昔、近江の琵琶湖に住む漁夫の娘が大漁と引き換えに、水神の生贄に差し出された。白鳩になって新島まで逃げて追い詰められた娘は、逃げ込んだ差地山の躑躅で目を突いて飛べなくなり、大蛇になった水神に喰い殺されてしまう。後にこの躑躅は白鳩を盲目にしたので、花が咲かないといわれている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 15になると大蛇に食われると言われた子供がいた。15になったある日、子供がお宮に行くとき、母親がいつものように念仏を唱えながらおむすびを握って持たせた。お宮に行くと大蛇がいたので、子供はおむすびを大蛇の口に投げ込んだ。大蛇はナンマイダのおむすびをもらったので命は助けると言い、子供は助かった。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 旅と伝説新年号 2巻1号通巻13号 |
場 所 | 神津島 |
要 約 | 神津島の東側海中に祗苗島いう海草貝類の豊富な小島があり、村の女達はよく採りに出かけていた。ある日漁の最中、急に天候が悪くなり皆急いで帰村した。だがひとり残された女がおり助けを求めて叫び続け死んでしまった。暴風が去り若衆が助けに行ったが、既に死体となりその髪の毛一本一本が蛇と化して居た。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 三宅島 三宅村 |
要 約 | 事代主神が奥様の啀姫の他に后様という妾を持ち、そちらに夢中になったので啀姫が嫉妬し、大蛇になって后様を追いかけ、崖から落とした。后様を祀ったのが后神社。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 神津島 神津島村 |
要 約 | ハインナイガ沢は年中水が切れない。大蛇がいる。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 2巻11号通巻23号 |
場 所 | 八丈島 |
要 約 | 八丈には昔、沼があり、大蛇の主が住んでいた。夜になると女や牛を貶めるので困っていた。為朝がやってきて、この大蛇を退治した。死骸を8つに切り裂き、ひとつひとつが1丈あったので、この地名がついた。斬った所をヤギゾー、大蛇のすんでいた池は血でそまり、アカミショーと呼ぶ。大蛇の霊を祀り弁天様とし、大蛇退治の際にその毒気で死んだ家臣忠次郎をまつったチュージョー様もある。 |
話 名 | 唐金の蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 神津島 神津島村 |
要 約 | 不動様の池には唐金の蛇のとぐろを巻いた姿が祀ってある。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 旅と伝説 7巻8号通巻80号 |
場 所 | 新島 |
要 約 | 難航した船が、海難よけに、船に乗っていた女をこの島に捨て、助けに行かなかった。女は狂い死に、その髪の毛が恨みで蛇となった。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 民俗採訪 昭和三十年度号 |
場 所 | 神津島 神津島村 |
要 約 | 海藻の口開けには女は連れて行けないのに、あるときおコチという女を連れて行ったら時化てどうしようもなくなったので、祇苗島に置いてきた。その女が蛇になったので、祇苗島には蛇がウヨウヨいる。 |
話 名 | 龍宮様,乙姫様 |
資 料 | 民間伝承 4巻1号 |
場 所 | 東京都 |
要 約 | 八丈島では、海中の水死体には竜宮様が抱きついていると言われ、何度も踏み付けてから引揚げる。死体の引き上げ役も必ず海で死ぬことになる。また、ある男が突然「淋しく」なり、海に潜れなくなった。巫女に「乙姫様が睨んでいる」と言われ、祈ってもらった。 |
伊豆諸島の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)