沖縄県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 斑蛇,アカマタ,マッタブ
資 料 フォクロア 通巻18・19・20・21号
場 所 沖縄県
要 約 昔ガジュマルの老木の下で女がニコニコしながら行ったり来たりしているのをある人が見つけ連れ帰った。女は蛇が書いた字の力で惑わされており、字を消すと治った。今でも女がそこに小便をかけると惑わされるという。

話 名 アカマタ
資 料 フォクロア 通巻18・19・20・21号
場 所 宮古郡
要 約 ある娘が身ごもった。親が問いただすと毎夜来る少年と通じていたという。ある晩少年に糸を付けた針を刺し、翌朝糸を頼りに捜すと漲水の窟にいた大蛇の首に針が刺さっていた。悲観して自殺しようとすると神が現れ、蛇は宮古島の祖神の化身であると告げた。

話 名 アカマタ,マッタブ
資 料 フォクロア 通巻18・19・20・21号
場 所 沖縄県 鹿児島県 奄美郡
要 約 「蛇婿入り」の引用事例多数あり。

話 名 たてがみの生えた大きな蛇
資 料 八重山文化 通巻4号
場 所 石垣市
要 約 ある男が、七割の田の中で、1匹のたてがみの生えた大きな蛇が龍となって昇天するのを見た。龍は男に、見たことを人に話さぬように頼み、龍胆(龍糞)の宝物を与えた。以来、七割の田は、いかなる干魃の時にも豊作で、男は大福長者となったが、約束を忘れて人に話すようになると、不作がちになったという。

話 名 蛇,エラブウナギ,イラブウ
資 料 名古屋民俗 通巻15号
場 所 八重山郡 与那国町
要 約 女の元に通う正体不明の男がいた。仕組んだ糸を辿って男の後をつけると蛇の穴に着いた。男は女を妊娠させたこと、流産の方法などを話していたので、女はその通りに浜下りをすると、下りるたびに蛇の子が落ちていった。これがエラブウナギである。

話 名 大きな蛇,竜
資 料 名古屋民俗 通巻15号
場 所 八重山郡 与那国町
要 約 清明は大蛇と途中の家の主人の頼まれ事の代わりに道を教えてもらい、天に上って暦の勉強をした。帰りに大蛇達との約束を果たした。地上で、暦の勝負をしようとしていたトゥブングは、清明の妻を見方にして勝とうとしたが、天から来た神によって殺された。

話 名 赤又
資 料 旅と伝説 2巻6号通巻18号
場 所 沖縄県
要 約 昔、美貌の娘がいたが、どんな男がいいよっても縁談をすすめても一切受け入れようとしない。彼女には一人の美青年に恋をしていたのだが、その男とあう為に夕闇が迫る頃になると人目を避けて森の中に入っていくのであった。その男の正体は山の奥に住む赤又という蛇であった。

話 名
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 平良市
要 約 女の元に毎夜若武者がやってきて、女はやがて妊娠した。若武者の素性を知ろうと、やってきた若武者の髷に麻糸をつけた針を刺した。男が帰った翌朝、糸を辿ると井戸の中に続いており、中で片目を刺された蛇が死んでいた。

話 名 (蛇の子を産む女)
資 料 旅と伝説 2巻6号通巻18号
場 所 沖縄県
要 約 昔、美貌の娘がいたが、彼女は人目をしのんで赤又という蛇が化けた美青年と恋をしていた。村では不義をした女は海水に入るとその真否が判明すると言われて海に入ると、娘は一匹の蛇の子を産み落とした。それは3月3日節句の日で、この村ではその日になると自己の処女を試す習慣を作った。

話 名 豊見赤星テタナフラハイ主,蛇
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 宮古郡
要 約 むかし豊見赤星テタナフラハイ主という女神が大城山に住んでいた。ある夜、若い男と交わる夢を見て妊娠し、7ヶ月して男女の子供を産む。女神は最初に見たものを父にしよう歩いていると、山の瀬に大きな蛇がいた。蛇はこの子供を見て舞い踊るので、夢で交わった男であったのだろうと女神は思う。男児はのちに狩俣村を作り、氏神として崇められた。

話 名 魔神
資 料 旅と伝説 4巻2号通巻36*号
場 所 石垣市
要 約 昔、ナーマ屋の爺(アヤ)が海辺で魔人に出会った。乱れた頭髪、首に毒蛇と髑髏の首鬘をかけ、髑髏の瓔珞を腰につけ、赤い褌をした一つ目の大男だったという。爺に水を乞うたのでそれを与えたところ、魔除けの呪法を授けてくれた。七五三縄を(チビナー縄)張り、「ナーマヤーヌ・マリビキドー」と唱えればよいというもので、それを村人に伝え、難を逃れたといわれている。

話 名 天女,蛇,夢
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 宮古郡
要 約 昔、天女が大城に降りて暮らしていて、美しい青年と通じた。その素性を怪しんだ天女が青年の衣に麻糸を通した針を刺しておき、翌朝その糸を手繰っていくと、洞窟の中で蛇が呻き伏していた。天女は蛇と通じたことを悲しんだが、夢で汝の孕んだのは立派な人間だという示現を得た。後に3人の女子が生まれ、これが狩俣の村人の祖先である。

話 名 祖神
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 宮古郡
要 約 狩俣の祖神は、当間に天降りになった後「ぱなぎ川」、磯川と水の多い地を求めて移って来られた。この祖神は女神であったが男もいないのに受胎なされて、「まやぬまつめが」神を御生みになった。まつめが神が生まれ初立の日の外出で初めて会った者が子のこの神であると祈誓し、その日であったのは大蛇であった。それでこの子の父親は大蛇であると言われている。

話 名 ウプグフ真主,大蛇
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 宮古郡
要 約 狩俣の祖神「ウプグフ真主」が懐妊したので、夜毎現れる若い男の髪に麻糸を通した針を刺した。その糸をたどってみると、イスガー(湧泉)で片目に針が突き刺さった大蛇を見つけた。やがて2人の子供が生まれ、片目ヘビに「もしあなたの子なら浴びせてくれ」と言うとヘビは喜んで子供2人に水をかけ、そのまま消えていった。今でも狩俣のヘビは一眼蛇で神様として恐れられている。

話 名 ンマデタ,大蛇
資 料 日本民俗学 通巻194号
場 所 宮古郡
要 約 昔、ンマテダという母神とヤマヌフシライという娘神がナカズマに降臨した。二神は水量が豊富でおいしい泉をさがして狩俣にたどりついた。そのうち娘神が死に、やがて母神は夢に現れる青年との間に子をもうけた。青年の右肩に千尋の糸をつけた針をさしておいて素性を確かめるとそれは神と名乗る大蛇であった。母神と青年の間に生まれた子はそれぞれ子孫をふやした。

話 名 アカマター
資 料 南島研究 通巻39号
場 所 沖縄県
要 約 アカマターはナミヘビ科の無害の蛇である。美男子に化けて、女性に子を孕ませるという。3月3日浜下り起源説話は圏内によく知られている。

話 名 蛇のお婿さん,転生
資 料 昔話「研究と資料」 通巻29号
場 所 沖縄県
要 約 蛇の婿と結婚した末娘は幸福に暮らし、それを嫉んだ姉に殺される。姉は妹になりすますが、妹は鳥や樹木、家具に転生して姉を苦しめ、最後には人間に転生して再び夫と結婚する。沖縄では漲水御嶽の物語がある。

話 名 蛇身
資 料 南島研究 42号
場 所 宮古島市 平良
要 約 漲水御嶽は宮古開闢の神である恋角・恋玉の霊所である。恋角が蛇身になって隅屋の娘に3人の女を産ませた。この3人が宮古の守護神になった。

話 名 豊見赤星天太なふら真主、大蛇、狩俣村
資 料 沖縄県史 第22巻民俗1号
場 所 平良市
要 約 豊見赤星天太なふら真主(トヨムアカボステダナフラマヌス)という神が或る夜若い男と見合いするという夢を見、7ヶ月後に双子の男女を生んだ。父親が分からなかったが、双子を見た大蛇が喜んでいる様だったのでその大蛇を父親とした。これが狩俣村の始まりである。

話 名 大蛇
資 料 南島研究 42号
場 所 宮古島市 平良
要 約 平良の住屋で娘が懐妊したので父母が質すと,毎夜青年が寝床に来るという。麻糸をつけた針を青年の襟につけさせて翌朝糸を辿ると,糸は漲水御嶽の洞窟に続いていて針は大蛇の頚(片目)に刺さっていた。その夜の娘の夢に青年(大蛇)が示現して自分は恋角だと名乗り,三人の娘が生まれるので三歳になったら漲水へ連れて来るよう告げた。その通りにすると,大蛇は娘達を抱いて御嶽の中に飛び込んだ。大蛇は光を放って昇天した。

話 名 浜下り,アカマター
資 料 沖縄県史 第23巻民俗2号
場 所 沖縄県
要 約 或る娘の元に夜な夜な訪れる美青年、娘の家族が後を付けてみると、正体はアカマターと呼ばれる大蛇だった。家族はアカマター達の会話から、娘に浜の白砂を踏ませ、孕んだアカマターの子供を堕ろさせた。この様な起源説話を持つ浜下りは、海岸付近の集落に多い。

話 名 大蛇
資 料 南島研究 42号
場 所 宮古島市 平良
要 約 女神が島尻当原トゥバルに天降り,西の大城山に住んだ。ある夜若い男と過ごした夢を見て男女の子を産んだ。初めて出会ったものを父にしようと子を抱いて家を出ると大蛇がおり,二人は大蛇の子とわかる。狩俣村はこの二人の子から始まった。

話 名 水死体,竜王,竜宮の神,金毘羅,住吉,海神,ニライ・カナイ,ウナリガミ,船霊,エビス,媽祖,(天妃)
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 南西諸島の海神もしくは海の信仰は多数ある。竜王、竜宮の神、ニライ・カナイ、ウナリガミ、船霊、エビス、媽祖(天妃)水死体などのほかに、金毘羅、熊野、住吉などの信仰も見られる。

話 名 竜神,竜王
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 那覇にあった竜王殿は中見城にあったのを天妃廟前に移したといわれている。旧暦1月4日、5月5日、9月9日、11月冬至、12月24日に祀っていたと『琉球国由来記』にある。

話 名 竜宮の神,ニライ・カナイ,豊漁神
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 伊平屋島の田名ではリュウグウノカミを拝む際の主宰は男性神人であるが、他のところでは女性神人が管理する場合もある。本部半島の谷茶ではタンチャウーフシ(谷茶大主)という竜宮の神の祠の通し窓から沖のニライ・カナイを拝む方市になっており、豊漁神として独立しきっていないのだという。

話 名 リュウグウノカミ,アマグウノカミ
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 我喜屋にはチグチ(津口)竜宮、ウサチ(大崎)竜宮、今竜宮の3種類がある。旧暦3月3日は区長とカミンシュが参拝し、航海安全と豊漁を祈る。ノロがいた頃はアミタボーリ(雨拾われ)といって、アマグウノカミに雨乞いをしたという。今竜宮はホトケガミとも言い、もとは観音を拝んでいた。大正頃、カツオ船の人たちが海石を拾ってきて豊漁を祈ったことにちなみ、竜宮ともいう。

話 名 竜宮,八大竜王
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 我喜屋の竜宮は数が多く、内容も多彩で分化しているという特徴をもつ。大崎竜宮は竜宮の神と雨乞いの神が併記されていて、南九州の八大竜王の民俗を思わせる。

話 名 リュウグダス,ヌーダダス
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 宮古郡
要 約 宮古島の島尻にはリュウグダスと呼ばれる男性神役がいる。海神に仕えて豊漁や航海安全を祈願する「竜宮願い」を行う。女性神役のヌーダダスも航海安全を祈る。また、旅立ちの時にはアマテラスヌサスという女性神人が祈る。

話 名 竜宮の神,リュウグウダー
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 竜宮の神は旧暦4月4日にリュウグウダーを訪れて6月いっぱい滞在する。また、10月のウヤガンの祭りにも訪れるという。この時期は初夏の珊瑚礁の海に回遊してくる小魚の漁期と一致し、神からそれを招く期間であると考えられる。

話 名 竜宮,ニライ底,カネーラ底,元の根神
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 竹富島では春秋の壬戌の日に竜宮願いをする。竜宮、ニライ底、カネーラ底、元の根神などに対し、嘉例吉の旅と家庭安穏を祈る。竜宮の神の石や小祠は八重山では沖縄本島や宮古諸島ほどに顕著ではない。

話 名 竜神,竜宮,ニライ底,カーネラ底
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 沖縄地方の竜神信仰は伊平屋島・宮古諸島を含む圏と、奄美・与那国島・その他の八重山諸島を含む2圏に分類できる。これはこの地域における竜神信仰の伝播が2波あったことを意味する。祝詞に出てくる「竜宮、ニライ底、カネーラ底」は竜宮より一段古いと思われる異郷語である。

話 名 谷茶ウフヌシ,竜神の神
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 爬竜船行事は沖縄県全域で見られる。谷茶では旧暦5月4日に竜宮の神である谷茶ウフヌシに祈った後、ハーリー舟による競渡を行う。

話 名 竜女,竜神
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 君島久子によると、竜舟競渡は竜神の力で初夏の病災を祓うためと、竜神を呼び出して雨乞いをするためであるという。

話 名 竜王,竜宮
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 竜神信仰はヤマト・琉球全域に見られる。中国で「竜王」が使われることが多いのに対して、日本では「竜宮」あるいは「竜宮の神」が多い。竜王は海神と農神の両性格を持つが、竜宮の神は海神の傾向が強い。

話 名 竜神,エビス,ウナリ
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 日本の竜神信仰はトカラ列島と奄美大島を境にして二分できる。トカラ以北のヤマト文化圏では海神の豊漁面はエビスに吸収されている。奄美大島以南の琉球文化圏では、豊漁や航海は竜宮の神に祈り、航海はウナリの力にも頼っている。ヤマト文化圏ほど、神々の機能分化は見られない。

話 名 竜宮
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 琉球文化圏には竜宮信仰の二重性がある。小祠を設けて祈る内圏と、巫女のオモロやカミグチにのみ表現される外圏があり、この2種は同心円状であるという。

話 名 竜王殿
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 沖縄の竜王殿は中国伝来であると考えられ、ハーリー舟なども、同様に中国の竜王信仰にちなみむ習俗であると思われる。

話 名 火の神の恩返し
資 料 八重山文化 8号
場 所 八重山郡 竹富町
要 約 農業と漁業を兼業していた男がある晩、大勢の人々が「よいとこさ、よいとこさ」と掛け声をかけながら通っていくのに出会った。何をしているのか聞くと、竜宮の神様の命令で木を島の上にのし上げるのだという。力を貸してくれと言われた男は手伝ってやった。そのお礼に、風邪を持ってくるゆうがらすを除けるために臼を3回叩くことを教えられ、男の家庭は助かった。隣の家の人々は悪い病気になり、全員死んだという。

話 名 竜王,竜神,竜宮,わだつみ,ニライ・カナイ
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 「わだつみ」や「ニライ・カナイ」といった語は竜王、竜神、竜宮などの言葉と必ずしも癒着せず、日本の海神信仰の独自性が見える。

話 名 シネリキユ,アマミキユ
資 料 日本随筆大成第二期 3巻
場 所 沖縄県
要 約 むかし琉球国に人間が居なかった時、天からシネリキユという男とアマミキユという女が降りてきた。彼らはまだ小さな島だったこの国にタシカという木とシキユという草を植えて国作りを行った。また彼らは風を縁にして3人の子を生み、それぞれ主・祝・土民の始祖となった。また竜宮から火を得て、国を完成させたという。人間が増え、守護の神が現れた。キンマモントという海底に居する神である。

話 名 ネリヤ,ニライ・カナイ,ワタガナシ
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 沖縄県
要 約 竜宮について、琉球文化圏では固有の名称をもち、奄美ではネリヤ、沖縄ではニライ・カナイと呼ばれる。また、奄美ではネリヤの神に対してワタガナシという表現もある。ニライ・カナイは海上他界とも海底の異郷とも言われ、そこから来訪する神は海神の一種である。

話 名 竜宮,海神,ニッリア,海馬,亀,鱶
資 料 沖縄県史 第22巻民俗1号
場 所 沖縄県
要 約 竜宮、海神の宮は海底のニッリアと呼ばれ、海神の使者は海馬、亀、鱶である。これらの使者は特に過去に恩のある人を航海中の苦難より助けてくれる。

話 名 髪,紙包,白髪,龍宮城
資 料 沖縄県立博物館紀要 29号
場 所 島尻郡 南風原町
要 約 与那覇村に1人の男がいた。男は与那久浜で異様に長い髪を拾った。誰の物だろうかと怪しんでいた男が翌日髪の主を探していると、浜でとても美しい女に会った。女は髪の持ち主で、髪を返すと喜んで男を連れて海に入った。すると波が開けて道になり、男は女に導かれて龍宮城に行った。龍宮城には神々がいて、男は3日の間歓待を受けたが、神に家に帰りたいと告げた。
与那覇村の男は龍宮城で歓待を受けたが、家に帰りたいと神に訴えた。神は地上では三十三代の時が過ぎていることを告げたが、男は帰りたがった。すると神は1つの紙包を男に与えた。それを携えていくと向かうところが道になり、故郷に帰れるという。また故郷に居場所がなかったら、紙包を携えて帰ってくればまた戻ってこられるという。神は男に紙包を絶対に開けてはいけないと戒めた。男は紙包を携えて故郷に帰った。
龍宮城でもらった紙包のおかげで与那覇の村に帰ってきた男だったが、村人は皆知らない人ばかりで、家も変わり果て家族もいなかった。男は呆然として、桑の杖を傍につきたてて穏作根をした。そしてふと思い出して紙包を開けたところ、中から出てきた一束の白髪が男の体にまとわりつき、男は見る間に老いてそのまま枯れるように死んでしまった。男がいた丘を穏作根嶽という。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 7巻1号
場 所 沖縄県
要 約 ハブに関する俗信。ハブの鼻の穴は、最初は2つだが脱皮するごとに増えて7つにまでなり、この鼻の穴が7つあるハブにかまれると助からないという。何百年も風を吸い、年経たハブは天に昇って龍になるという。ハブが人を噛むと、その人が死なないか心配して三日以内に噛んだ場所とその人の家に様子見に行くという。雷が鳴るとハブの卵が腐るから、雷が多い年はハブが少ないという、など。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 14巻1号通巻141号
場 所 島尻郡 伊是名村
要 約 葬列の先頭はセーマ(龍頭、これに死者の魂が乗って行くという)が行くが、このセーマが後ろを向くと誰かが死ぬという。

沖縄県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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