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古々比の杜は『枕草子』にも「杜はこごひの杜」と引かれ、当時から名の知れた所であったのだが、火牟須比命神社・小河泉水神社・波夜多麻和氣命神社・伊波例命神社の実に四社もの式内社の鎮座地として名があがる(最有力論社となるのは火牟須比命神社だけだが)。特に火牟須比命が重要であり、『増訂 豆州志稿』は「古々比ノ森ト云モ亦此神ノ一名火之毘古(ホノカガヒコ)ノ毘ノ転訛ナラム」と主張している。苦しいが。

そもそも伊豆山権現はまず日金山に(上の本宮)、次いでこの古々比の杜に(中の本宮・現本宮神社)、そして現社地(新宮)に遷座したと伝わっているが、概ね日金山は伝説、古々比の杜から現社地への遷座は確かだろうと考えられている。つまり、今の伊豆山神社は里宮のようなものであり、古々比の杜が本来の神域なのだ、ということになる。

さて、その伊豆山の核心である神域になぜ白山神社が鎮座するのかと言うと、先に見た神社の由緒書き以上の史料もなくよく分からない。しかし、古々比の杜とは何なのか、ということをより漠然と眺めてみると、確かに白山神社がここに鎮座するのはうってつけだ、という気もする。この辺りは全面的に私見となるので、下で展開しよう。


参拝記と私見

白山神社の大岩
白山神社の大岩

伊豆山神社には何度も参拝しているが、このページの白山神社の写真を撮影したのは平成二十二年十月三日の参拝の折である。かねてから狙っていた、伊豆山神社本来の参詣路を辿る(すなわち海際の走湯神社〜伊豆山神社〜白山神社〜奥の院・本宮神社)という行程だった。

そもそも末社である上に、あまり伊豆の信仰に深く関係するとも思えない白山神社なんで、特に注目もせぬまま山道を登って上写真の鳥居が見えた所で頭をぶん殴られたような衝撃を受けた。上記の古々比の杜に関する資料も読んではいたのだが、字面を追うのと実見するのとでは大違いである。この光景を見てここが神域であることが私の中で確定した。

登り口と遥拝所
登り口と遥拝所

先に順路のことを述べておこう。伊豆山神社本社殿向って右側に資料館があるが、その間に上写真の鳥居があり、ここが登り口である。短い道のりとはいえ山道であり、万人向けではないので白山神社(と本宮神社)の遥拝所もかねている。

参道の山道
参道の山道

道中はこんななので、それなりの靴を履いて行かないといけない。白山神社までは由緒書きにもあったように20分、健脚なら15分くらいだ。もっとも、実は白山神社のすぐ上には民家が建っており、古々比の杜周辺には宅地が迫っている。公園として整備されている所まで社道が通っているので、白山神社の上に車で行ってちょっと山道を下って参拝、ということも可能だ。複雑な心境ではあるが。


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龍学 -dragonology- 2011

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