348 城を築いた蛇

『捜神記』

晋の懐帝の永嘉年間に、韓媼と呼ばれる女が野原で巨大な卵を見つけた。持ち帰って育てたところ、人間の赤ん坊が生まれたので、撅(けつ)児と呼ぶことにした。

この子が四歳になったばかりのころ、劉淵が平陽に城を築こうとしたが、なかなか完成しないので、築城のじょうずな者を募集した。撅児はそれに応募し、蛇に姿を変えると、韓媼を助手にして、自分のはったあとに灰でしるしをつけさせ、
「灰の線どおりに城を築けば、すぐにできあがりますよ」
と言ったが、けっきょくその言葉どおりに城は完成した。

ところが淵は怪しいやつと疑いをかけたので、蛇は山の洞穴に逃げ込んだ。ただ尾が二、三寸外に出ていたのを、淵の追手が斬りおとすと、とつぜん洞穴のなかに泉が湧き出し、それがたまって池になった。そこでこの池を金竜池と呼ぶようになったのである。

訳:竹田晃『捜神記』(平凡社ライブラリー)より原文


『捜神記』より
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