318 缸のなかの蛇

『捜神記』

滎陽(河南省)に廖という姓の家があった。代々蠱を使うのを職業にして、それで財産を築きあげた。その後、息子に嫁を迎えたが、このことは嫁には打ちあけなかった。

あるとき、たまたま家人が出はらって、嫁だけが留守番をしていると、ふと部屋のなかにある大きな缸(かめ)が目についた。ためしにあけてみると、大きな蛇がはいっている。そこで湯を沸かして注ぎかけ、殺してしまった。家人が帰ってからこの次第を報告したところ、家中の者はがっかりしてしまったが、それからまもなく、家族のなかに伝染病が起こって、ほとんど死に絶えてしまったのである。

訳:竹田晃『捜神記』(平凡社ライブラリー)より原文


『捜神記』より
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