蛇の夢

広島県府中市内:旧上下町

主人が戦争に招集されて、タバコを作っていたが、お金に困っていた。親たちはもう働けず、子どもを連れて一人で働いていた。

そんな時に、タバコの葉の皺を伸ばしていると、タバコを吊った木の上を、物すごい大蛇が私の方目がけて来る。恐ろしくなって逃げると、逃げた方に蛇が来る……そこで目が覚めた。夢を見ていたのだった。

これは主人が戦死したんじゃないかと思って、しかし蛇の夢は縁起がいいともいうので、年寄りに話したら、主人が金を送ってくるのじゃないか、という。そうしたらその日に本当に主人が十円送って来た。蛇の夢は銭を送るというが本当だった。当時の十円といったら大金で、助かった。

『上下町史 民俗編』より要約


蛇の夢がお金をもたらす話。蛇の夢を見たらお金が入る(ただし、三日間誰にも言わなかったら、という所もあるので注意……笑)、という俗信は枚挙にいとまがないというか、言わない土地がないというほどだが、「本当にそうなった」という話が採録されているのは希だろう。

ということでこの話題関係からは「実際こういう話もある」と引かれることになる記事。しかし、何故蛇の夢でお金が入るのか。同じく蛇の脱け殻を財布に入れておくとお金が貯まるというが、それは何故か、と改めて問うと、その解説は存外難しいのじゃないかと思う。