栄町稲荷社

新潟県燕市内:旧分水町地蔵堂

地蔵堂に栄町の稲荷社がある。昔、この付近に大池があり、蛇が多く「蛇屋敷」といわれるほどだった。明治四十四年の荒川切れの時にはこの辺り一帯は濁流があふれ、中に一匹の白蛇が柳の木に留っているところを某少年が石を投げつけたら蛇の横腹に当たった。推定三百歳を越えた白蛇はそれ以来姿を消したが、だれからともなく、体の弱い者や妊婦に祟る、といわれだしたため、常昌寺のお祓いを受け、やがて現在地に堂宇を建て、豊川稲荷より御分霊を勧請して「栄町稲荷」として祀り、祭日には常昌寺から法華経を唱えてもらっている。

『分水町史 民俗・人物』より原文


稲荷と竜蛇の関係を考える上で参照される話。ここはすぐ北に諏訪神社もあるのだが、なぜか白蛇を稲荷として祀っている。以下の話なども参照されたい。

岩清水稲荷
栃木県塩谷郡高根沢町寺渡戸:岩清水稲荷の近くの沼には稲荷様が乗る川蛇様が棲むという。

この栄町稲荷の白蛇が何故「推定三百歳」などという具体的な年齢で語られるのかは分からない。そもそも周辺が蛇屋敷と言われたなどというから、先行する蛇伝説があるのかもしれない。