囃子水

『鎌ヶ谷市史 資料編V(民俗)』原文

近くに寄って囃し立てると、それに答えるかのように高く湧き出したことから、囃子水とよぶ池がある。むかし妙蓮寺に山菜が好きな住職がいて、ある雨降りの日、蓑と笠を身に着けて山菜を取りに行ったところ、誤って足を滑らせ、この囃子水に落ちて亡くなってしまった。それ以来、この池の側でお題目を唱えると、水が蓑と笠の形に湧いてくるという。

妙蓮寺の僧侶が毎日この池から水を汲んでご本尊様にお供えしていた。ある日、いつものように水を汲みに行ったところ、誤って足を滑らせこの囃子水に落ちてしまった。遺体が見つからず心配していたところ、遠く離れた東京湾の浦安沖に浮かび上がったという。このことから囃子水の底には、東京湾を結ぶ穴があるといわれている。

この池のほとりで「笠になれ蓑になれ」と囃し立てると、水が高く湧き出してそのような形をする。

この池の近くの田を買った家の主人は、病気になってしまうという。

ある商店が、ここでとれる笹を使っていたら、商売がうまくいかなくなってしまったという。

囃子水のあたりを掃除して、回りの草をきれいに燃やしてしまったら、蛇の山が燃える夢知らせにあい、娘がアイロンでやけどをしてしまったという。

『鎌ヶ谷市史 資料編V(民俗)』より