ヘエベエ弁天の由来

『八千代市の歴史 資料編 民俗』原文

昔、あの名主やってた人が、旅の女の、マア雨なんかで行くとこなくて、「泊めてくろ」って頼んだそうですけどね。まあ名主だから、まあ、いろいろ奉公人部屋とかいろいろあったから、泊めてやったそうなんですけど、風呂に入っても大事にこう持っていたもん、あるんだそうですね。それに目をつけて、大事な金だかなんだか大事なもんだから見て欲しくなったもんだか、風呂に入んのも大事にしてるもんだから、今度は、寝ているところへ行って、それを取ろうとしたんだ。そうしたら目エ覚めちゃって、大事なもの取られちゃ困るってわけで、その争いになって、その女を殺しちゃったんですね。開けてみたら弁天様、大事にしてたんですね。

それからマア名主だから、あとの始末、こう届けて裏山に葬ってやったんだけど、なすこと、みんな失敗しちゃって、だんだん落ちぶれちゃったんですね。これは確かに弁天様の祟りだって、今、新萱田の田圃のヤツドの一番上に弁天様作って祀ったんだそうですけど代々うまくいかないんで。……山仕事なんかに行くとそこは淋しいとこでね。そいうイワレがあるんですよね。ヘエベエ弁天てね。
(萱田上 君塚全吉)

『八千代市の歴史 資料編 民俗』より